【レビュー記事】Jupitの新作RPG『エターナルリンケージ』をチェックしていないPはモグリだ。そう思える程の良作
ゲームDJの安藤武博です。久しぶりにスマホRPGをガッツリ遊びました。『エターナルリンケージ』。プレイ日数は11月21日の配信開始から毎日で、約10日間。ローンチ時に実装されているシナリオ全部、6章の終わりまでをクリアしました。やり込み具合としてはまだまだ上のプレイヤーは多い本作ですが、とりあえず「じっくりやり込んだ」と言えるレベルだとは思います。結果どうだったか?
じつによくできている。驚いた。舐めていた。師走に入り、移動が多くなる季節ですが、電車があっという間に目的地に着く。それくらいにハマれました。この手のスマホRPGはたくさん作ったし、遊んだし、正直言うと多少辟易していたところもあるのですが、そんなの完全にぶっ飛んだ。気づいたら、空き時間に『エタリン』を起動している俺がいる。どこを切り取ってもトータルでよくできています。
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というか、今時ローンチからやることがこれだけ用意されている新作も少ないのではないか。いや、もはや本作が「今どきのスマホRPGの基準点」とも言えるのではないか。突出した発明仕様は入っていませんが、さまざまなスマホゲームを研究・分解し、それを丁寧に再構築している。「今お手本にするべきスマホRPGはなに?」と聞かれたら、迷わず素性の良い本作をオススメします。
まず特徴的なのが、序盤からの大盤振る舞い。プレイヤーの一挙手一投足にアチーブメントが用意されており、何かをすれば何かがもらえます。これが2017年以降のトレンドでしょう。それにしてもここまで刻むまで来たのか? というレベルです。

行動力(AP)消費型のゲームですが、貰いすぎて逆オーバーキルします。普通に遊んでいたらあっという間にカンストしました。遊ばせる気満々!
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ログインボーナスも6時間ごとの1日4回。これがあるせいで、夜中にふと『エタリン』を起動する俺がいます。放置系の素材回収「探索」も、1~3時間単位で設定されており、これが起動のいい促しになっている。

この作品は素材がないととにかくキャラクターが育たないわけですが、至るところに素材回収の仕様があるため、結果的にプレイヤーを飽きさせません。不足素材から回収クエストまでの流れも滑らかに誘導されており、今何をすべきかがとてもわかりやすい。

各キャラは「エヴォルツリー」なるスキル成長ツリーによって強化できますが、素材を集めてこれを解放・成長させる時の気持ちよさは特筆もの。優れたエフェクト演出ができるスタッフがいますね。これは戦闘など他の部分でも随所に見受けられます。
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そしてキモとなる戦闘は、テンポのよさが抜群で素晴らしい。現時点で、ゲームプロデューサーとしての安藤が製作に求める理想のスピードはこれだ。システムは前衛・後衛にそれぞれ3キャラクターを配置した、最大6人のパーティ制。通常攻撃は自動で繰り出しつつ、キャラのサムネイルにエネルギーがたまったら、任意でスキルを発動させて戦うスタイル。
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この手のシステムはゲージが溜まるまで何もできずに「イライラ」することもあるのですが、絶妙なスピード感とバランス調整で「ハラハラ」するように仕上がっています。それを実現するためには、今時このくらいの速さで戦闘を進行させないといけないと思う。Autoバトルの倍速状態、この気持ちよさはクセになるのでぜひ体感してみてほしい。

さらに、キャラクターの武器・ジョブ・属性の特性によって「リンケージスキル」なる必殺技も繰り出せる。これがまた爽快! 「リンク」の文字通り、複数のキャラクターをリンクさせて繰り出すこの技は特定の組み合わせをなぞることによって発動。このリンケージスキルを効果的に発動させるために、うまく陣形を考えるのがとても楽しい。
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なお、Autoではリンケージスキルは発動しないので、自分で操作する必要がある。めちゃくちゃ強いバランスになっているので、出せば一気に形勢が変わることも。この一発逆転要素と演出は、見ているだけで気持ちよく、すでに勝利を確信した状況でもついついなぞりたくなるようなデザイン。これをマニュアルでしか発動しないように固定したプランナーはイケている。

最大で二匹まで連れていける「神獣」は、うまく召喚どころを見極めれば、戦況が大きくこちらに傾く。神獣もリンケージスキルと同様にマニュアルで操作することになるのだが、この「Autoとマニュアルのバランス」も絶妙だと感じる。煩雑なところは自動運転。気持ちいいところや要の操作はプレイヤーにうまく委ねてくる。これがスマホ時代のRPG戦闘のバランス調整の妙であり、コンソールゲームとはひと味違うポイントといえる。
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▲さまざまな種類が存在する神獣は、基本的に「討伐」と呼ばれるマルチプレイで撃破することで入手可能。このマルチプレイも戦略性が高く、手ごたえバツグンの仕様!
そんなこのゲームで最も驚いたのは、これをつくったのが「RPG制作未経験のスタッフたち」ということ。恥ずかしながら、本作でJupitという会社をきちんと認識しました。HPを見ても、過去作は恋愛SLG『初恋の歌』と、典型的なブラウザ時代からのソシャゲ『ヤマトクロニクル覚醒』のみ。まさかここから、いきなりこれだけ良質なRPGが生み出されることになるとは思わなかった。

厳密に言うと、シナリオは過去『ルーンファクトリー』シリーズや『エストポリス伝記』などを手がけた開発会社ネバーランドカンパニーに在籍していた宮田正英さんが担当。つまり、ものすごく練り込まれた物語が楽しめることは約束されています。事実、業界の大先輩が手がけるシナリオは「浮遊城」や「レジスタンス」、「四天王」に「神族」に「闘技場」などなど、“This is RPG”なエッセンスが盛りだくさん。これに若いスタッフのエキスが入り、テンポよい展開に仕上がっている。
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少し長いシナリオは「読ませるだけのクエスト」で構成されており、読むとリワード(ダイヤ)が手に入る今時の仕様。肝心のあらすじは、まだ提示されている世界の謎の端っこすらもこすってない感じで、俺は続きが非常に気になっている。宮田さん続きの実装はよ。
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じつにSAP的な立ち位置のJupitが、「ネイティブシフトにはもう遅いのでは?」とも思われた2017年に見事に適応してつくりきった、その情熱に脱帽。これはなかなかできることではないし、今もって移行できずに苦しんでいる会社も多い。決められた予算の中で上手に工夫された3Dキャラ、OPアニメはボイスもあり、品質も全く見劣りのしない最新RPGに仕上げられている。このチームビルディングは、今後Jupitが躍進していくきっかけになったと思う。ここから始まっていく感じがすごくする。

勘のいいプロデューサーならば、既にコンタクトをとっているのではないかとさえ思わせる超新星。それがJupitと『エタリン』チーム。普通に考えて、大型IPを任せてさらに飛躍してもらいたい感じがある。いや、すでにオリジナルタイトルで幸先の良いスタートを切っている彼らにとっては、それすら必要ないのかもしれない。今後の彼らの動きと、『エターナルリンケージ』の行く末から目が離せない。良いスタッフとゲームを発見しました。
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▲キャラクターには「限界突破」の要素も。これにより、お気に入りのキャラをとことん強化したくなるのはゲーマーのサガといえよう。


テキスト:安藤武博(Takehiro Ando) 1975年生まれ。ゲームを「つくる」「伝える」「混ぜる」人、ゲームDJ。当サイトシシララTVの代表を務める。『F-ZERO』のMUTE CITYを1分59秒台で駆け抜ける。好きなゲームは80年代のシブサワ・コウ作品たち。F-1と競馬とヘビーメタルに深くハマる。現在は宝塚歌劇を愛する。
ツイッターアカウント→安藤武博(ゲームDJ)@takehiro_ando
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