遠藤:そういうところに特化しているのが、運営を専門に手がけて、そのことだけに特化して考え続けている我々の強みだと思います。数字がすべてじゃない。ゲームは常に動いていて、お客さまも動いている。グリーは昔は数字至上主義みたいな部分も否めなかったんですが、最近では数字だけではなく、お客さまの情熱を大事にするようになっています。
弊社でもまずは、担当するゲームをそれぞれのスタッフがガッツリとやり込む。それによって、はじめて初心者の目線も、やり込んでくださっているお客さまの不満も見えるようになってくる。そこにはやらなきゃわからない感情がたくさんあるんですよ。誰よりも遊ぶ。とにかく遊ぶ。
安原:決して強制ではないのですが、自腹を切って課金もします。賛否両論あるとは思いつつ、経費じゃダメなんです。「自分のお金と時間をどこまで注ぎ込めるか、それに対する結果に納得感があるか」の感覚を我々がつかめていないと、本気でプレイしていただいているコアなお客さまに響く運営はできない。
遠藤:自分の担当のゲームでなくてもいいので、一度はそのぐらいやり込んでみないとわかりませんよね。
安藤:どんなゲームプログラムも分解すればただのゼロとイチの数字になるのに、できあがってプレイするゲームは、プレイヤーにとって小さな世界になり、ただの数字では表せない熱を生み出す……まるで生き物なんですよね。それを生かし続ける、成長させていく運営という仕事は開発とは別のクリエイティビティだと心から尊敬しています。
安原:そう言っていただけると自信がわいてくるのですが、やっぱり世間的には認知度がまだまだだと思うんです。「運営と言えばファンプレックス」と言ってもらえるようになりたいと、心から思っていますが、果たして運営している僕らは怖じることなくゲームクリエイターを名乗ってもいいものなのかどうか、と。
安藤:安原さんが冒頭でおっしゃっていた「負い目」の話に繋がってきますね。ですが、御社の社長である下村さんが声を大にしておっしゃっている「運営もゲームクリエイターだ」という言葉がすべてを物語っていると思います。
僕はコンシューマゲームもオンラインゲームもソーシャルゲームの開発も、どれも手がけてきた開発サイドのプロデューサーとして断言したい。遠藤さんはもちろん、安原さんのような運営のプロフェッショナルが「ゲームクリエイターです!」と堂々と言える時代はとっくに来ていますよ。
(後編につづく)
テキスト:サガコ(Sagako) フリーライターときどき小説家。ゲームやアニメ、テレビが好きだけど腐女子にもなりきれず夢女子にもなれず、すべてにおいてハンパな人生を謳歌中。「少年ヨルハ」ではパンフレットのテキストを担当。不思議なご縁で「水曜どうでしょう」関連の書籍も手がけています。
ツイッターアカウント→サガコ@sagakobuta
電撃文庫「リペットと僕」