増子:そうなんですか(笑)。『女神転生』の戦闘曲はメロディではなくリフなんですよね。戦闘曲は何回も聴くことになる曲だってことで、そこはすごく時間をかけて作りました。
安藤:ディストーションだけじゃなく、キラキラしたアルペジオも印象的なんですよ。そのキラキラ感をどのように出していたのかもお聞きしたいです。
増子:付点のエコーを使った疑似ディレイかな。ちなみにファミコンでディレイを掛けるテクニックを数種類持ってたんです。たとえば、エンベローブだけでディレイをかける方法もあれば、わざと単音を短くしてディレイ成分と組み合わせて作るだとか。
安藤:必殺のディレイレシピをたくさん持っていたってことなんですね。
増子:そうですね。曲によってディレイの付け方を変えたり、この曲のこの部分にはこのディレイを使うとか。単音なのにエンベローブでディレイを付けて、さらに別のディレイをかませて2チャンネルで交互に出力してみたりとか。
安藤:そういったテクニックは、音響の勉強をされていたことが生きたということでしょうか。
増子:いや、どちらかと言うと少ないチャンネルでどれだけ音の厚みを出せるかっていうことばかり考えていました。デチューンを掛けて音の深みを出すとか、わざとデチューンで音が重なるように組み合わせたりとか。
安藤:そういうアプローチは、シンセサイザーがたどってきた歴史なのかなとも思うんですけど、それともまた違うのでしょうか?
増子:サウンドドライバーを自作していたから出来たっていうのもあります。ハード設計自体はテーカン時代に『アルゴスの戦士』でやっていましたし、普通に基板を自作していました。最初に設計図を書いて、ICソケットに線を巻き付けて……みたいな感じです。
安藤:そういうことができるサウンドクリエイターって、ゲーム業界にどれくらいいるんでしょうね。
増子:ほとんどいないでしょうね(笑)。
安藤:楽器のプレイヤーが自分で楽器を作って演奏をしているのと同じ感覚ということですよね。クィーンのブライアン・メイが自宅の暖炉の木を切ってギターを作ったというエピソードと同じというか(笑)。
増子:そうそう! そんな感覚に近いと思います(笑)。
(後編に続く)
後編はコチラ→『女神転生』×『真・女神転生』のサントラ構想を実現するために
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http://www.cs.furyu.jp/workwork/
テキスト:風のイオナ(FLOOR25) ゲームと音楽と旅と自転車が好きな東京在住フリーライター&エディター。最近は地下アイドルグループDORCAのプロデューサー業もやってます。
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