中折れ世代必見!サガスカ入門
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家庭用としては実に11年ぶりのサガ。ドンピシャでサガ世代の御仁たちは、スマホゲームをやりながら「嗚呼、普通のRPGがやりたいなぁ」なんて思う反面、「でも普通のRPGをクリアする体力気力はないんだよなぁ」などという二律背反を抱えてこの年末を過ごしてるのではないでしょうか。
そんな御仁にこそオススメしたいのが今作「サガスカ」です。 サガシリーズの産みの親、河津秋敏御大(河津神)によるこのスマホゲーム全盛時代へのアンサーとも受け取れる今作は、本当に面白いゲームとは何か?本当に面白いRPGは何か?という課題に真摯に向き合った傑作中の傑作に仕上がってます。
突然ですが、RPGやりたいけどクリアする体力気力がない世代を私は「中折れ世代」(※中折れ=中年はゲームやってる最中になぜか心が折れる の略)と呼称しています。
中折れ世代の特徴として、
  • A. スーファミ時代のRPGを愛しすぎている
  • B. 現在はスマホゲームもそれなりに遊ぶ
  • C. 可処分所得はそれなりにある
  • D.現在は意を決して家庭用の新作RPGを買ってもクリアせずにやめる(必ずしも飽きる、というわけでなく、やめる)
  • などが挙げられます。
    これらの特徴から読み取れるのは、Aというノスタルジーに起因するプレイモチベーションの発生はあるものの、結局BやCから読み取れる「時間をお金で買って解決!」というプレイスタイルを習得してしまったがゆえにプレイが面倒になり、結果的にDという現象が生まれているのではないかと推測しています。
    結局スマホゲームのほうが周回ありきなので、課金した上でさらに時間も費やすという、より体力と気力とお金のかかる遊びをしてしまっているわけですが、なぜかやってしまう。
    まぁ家庭用の場合、発売タイミングでプレイしない限り、俺ツエー俺スゲーなどの承認欲求を満たすことに繋がらないのが原因のひとつかとは思いますが、元々ゲーム好きな人が徐々に家庭用ゲームから離れてしまうのは悲しいことです。
    さてここからが本題です。そんな中折れ世代の方々に「サガスカ」をオススメしたい理由は色々とあるのですが、面白さのポイントとなっている要素を2点にまとめました。
    デジタルTCGのシステムを彷彿とさせる斬新な戦闘システム
    RPGの戦闘システムとしてはメガテンシリーズのプレスターンバトル以来の発明、と言っていいのではないでしょうか。
    今作の戦闘では毎ターン使用可能なコストは制限されており、サガシリーズおなじみの陣形という要素によってその増減は様々なルールがあるのですが、基本は毎ターン使用可能コストが増加していき、そのコスト内で行動するキャラクターならびに技や術を選ぶ、そういった仕組みになっています。何も行動しないキャラは自動的に防御扱いになります。
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    この場合、エイミングを選択すると他のキャラはこのターン防御しかできない。
    こういったターンごとのコスト管理要素はハースストーンやシャドウバース、或いは乖離性ミリオンアーサーなどのスマホゲームでもお馴染みの仕組みですが、何と言っても特徴的なのは敵味方の行動順ならびに敵の選択コマンドまで全て見えた状態でこちらの行動を選択するという点です。
    また「リザーブ技」といって、遊戯王の罠カードのように内容が伏せられているコマンドもあり、そういったリザーブ技が発動しないような技を選択したり、行動順が変わる技を使ったりしながら場(タイムライン)をコントロールするのが今作の醍醐味です。
    裏を返せば場をコントロールできないとあっという間に全滅する、そんなゲームに仕上がっています。
    敵の数が多い場合は特に「連撃」というシステムが重要で、例えば○がプレイヤーキャラ、▲が敵キャラだとした場合
    ○○○○▲○▲
    このような行動順の際に、○に挟まれた左の▲を倒すと、
    ○○○○○▲
    上記のように並びが詰められます。こうなると連撃発動です。 残りの敵に対して連なったプレイヤーキャラが一斉に攻撃をしかけます。 なお、敵も連撃を使用可能なため、適当に敵を倒してしまうと自分が連撃を受けてしまうワケです。
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    斧のリザーブ技代表「地獄断面」
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    敵の順番に割り込んで・・・
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    ぶっ殺しーの、隙間あきーの、仲間つながりーの・・・
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    ハイ、連撃発動!!!
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    敵から一撃喰らえば全滅、こちらの攻撃が命中すれば勝利。そんな瀬戸際。
    余談ですが、RPGでは習得するけど使われない技・術、或いはお荷物でしかないキャラなんてものはザラですが、この秀逸な戦闘システムならびにシリーズではおなじみだけど今作では少し意味合いが違うLP(残機的な要素)のおかげで、そういった「使い道無いやんけ要素」はほとんどありません。 これは個人的に面白いと評価するスマホゲームの一つの基準でもあるんですが、例えるなら☆3のキャラでも使い道がある!みたいな話です。
    あえて一点だけ惜しいポイントを言うと、いわゆるヘイトコントロール(挑発効果のある技で敵を怒り状態にして、意図的に被弾ターゲットをコントロールする的な)要素はあるんですが、私は現在バルマンテ編の最終戦まで到達してますが、あまりヘイトコントロールを気にしなくても支障がなかった印象があります。主人公にもよるのかもしれませんが。
    ダンジョンなんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。
    前述の通り、戦闘が滅茶苦茶面白いゲームに仕上がっている、というのはもう十分伝わったかと思いますが、中折れ世代の方々は大体新しいRPGをプレイしても最初こそ楽しめますが、徐々に「街探索、ダルい」「ダンジョン探索、ダルい」「おつかいクエスト、ダルい」・・・もうなんか全部ダルい、となってある日突然やめる、なんてことはよくあります。
    いや、もちろんちゃんとやりきる人もたくさんいると思いますが、そうじゃない人を中折れ世代と呼称してます。ハイ。
    要はRPGは面白い部分(例えば戦闘やシナリオ)と面白くない部分(≒作業)が一定サイクルで循環することが多いワケで、リニアなゲームだとある程度そこのバランスをコントロールしやすいものの一本道すぎてツマランなんて言われてしまうこともチラホラ。 一方でノンリニアないわゆるオープンワールド的なゲームだとボリュームを持たせるために(或いはリアリティを追求するがゆえに)結果的に作業要素を増やす(増えてしまう)なんてこともある。かといってソシャゲばりにクエストがただの文字の羅列になるのも味気ない・・・。
    そういった課題に対していい感じに一つの解を出したのが今作でもあります。
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    なんだかシュールな絵面。だが、それがいい。
    今作はダンジョンもなけりゃ、お金すらない、ワールドマップに放り出されて、歩いて街や建物、或いは行倒れの人のアイコンを見つけて近づいて、選択肢がでてきたら選んで、戦闘が始まれば戦闘して、またワールドマップを練り歩く、そんなゲームになってます。
    しかも実にサガらしく、一度吐いたツバは飲み込めないので、選択肢の数だけ違う道順や出会いが発生してしまうわけで、あのイベントどうやって進めたら正解だったの??みたいな会話が今日現在サガスカユーザーの中では頻繁に行われたりするわけです。(ちなみに代表的なイベントとして赤ん坊イベントというのがあるんですが私はその最適な解決方法がわかりません。)
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    Let it go。
    まとめると、RPGの面白い部分(戦闘やシナリオ)を出来るだけ短いサイクルで延々楽しめ、かつ、探索要素はワールドマップとアイコンで片付けつつも、それがプレイヤーからすると最小限の手間で冒険感を味わえる設計にもなっているワケです。
    唯一の難点はワールドマップ上の移動速度が若干遅い、というくらいでしょうか。街道的な部分を歩くとスピードアップする謎のリアリティがあってそれはそれで味わい深いものの。

    というワケでゲームクリアを諦めた(?)中折れ世代にこそプレイしていただきたいですし、全てのRPGファンにぜひこの年末手に取って頂きたい実に素晴らしい作品となっております。 サガスカ専用機にするぐらいの覚悟で本体ごと購入することをオススメします。(PS4持ってる方ならリモートプレイ専用機にもジョブチェンジ可能ですし)
    攻略本が発売されてしまう前に。この興奮をアナタにも。
    公式サイトはこちら
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    ※この記事は個人の感想であり効果・効能を保証するものではありません。

    テキスト:Yuji Yokota(POCO) 
    Adways Inc. 事業戦略統括 Senior Vice President / Bulbit Inc. 取締役 CSO / 株式会社おくりバント 相談役。広告屋さんの皮をかぶった只のオタクです。趣味で良いコンテンツを世に広める活動をしています。 ツイッターアカウント→@GEEKPOCO
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