■2017年……対戦ゲームへの揺り戻しが来る
安藤武博(以下、安藤):今回お二人はTCG(トレーディングカードゲーム)と呼ばれるジャンルのゲームを手がけられたわけですが、カード対戦もののゲームは近年増えていますよね。そういうトレンドを見越して、TCGのタイトルを作られたんですか?
新小田裕二さん(以下、新小田):『
コード・オブ・ジョーカー Pocket(COJポケット)』は2013年にサービスイン済みのアーケード版の移植なので、そこまでTCGの盛り上がり自体を意識して作ったわけではないんです。ただ、少し前までマルチプレイが全盛の時期があったので、対戦ゲームへの揺り戻しが来るという予感はありました。そこから、対戦で盛り上がったり、コミュニティができたりするゲームセンターの文化が、アプリゲームにも現れてくるのではないかと思っていました。
田中翔太さん(以下、田中):僕が『
デュエル エクス マキナ』の製作をスタートしたのは、3年前くらいです。そのときは、ここまでTCGのジャンルが盛り上がるとは思っていませんでした。2012年頃は、「日本のアプリゲームは難しいものは流行らない」というのが定説だったんですよ。僕が初めて本作の企画書を周りに見せたのが2014年だったんですけど、見せた人たちに「こういうゲームを作りたい人はたくさんいるけど、手を付けたらやばいよ」といった内容を言われたことをすごく覚えています。
安藤:スマートフォンと戦略系のゲームは相性がよくない……そういうことでしょうか。
田中:その反面、海外のアプリ市場ではカードゲームや戦略性のあるゲームもけっこう出ていたんですよね。だから、日本のモバイルにもその流れは来るんじゃないかと思っていた部分はあります。『デュエル エクス マキナ』は最初、横持ちのリアルタイムストラテジーゲームだったんです。でもそれは難しいから、次はタワーディフェンスゲームにし、最終的に縦持ちのターン制のカードゲームにして、ようやくしっくりきました。
安藤:1つのプロジェクト内で、そんなにゲームシステムの変遷があるのは珍しいですね。
田中:しかも、プロトタイプで作っていた3~4カ月の間で、ですね。だから、最初からTCGがやりたかったというよりは、結果的にTCGになったという感じです。
安藤:新小田さんが2013年に『チェインクロニクル』を作ったとき、プレイしてみて「これラインディフェンスだな」と思っていたら、「リアルタイムストラテジーなんですよ」お会いした時に、おっしゃっていた。そのとき、タワーディフェンス、ラインディフェンス、リアルタイムストラテジー、ターン制のカードゲームあたりは親和性が高いんじゃないかと思いました。だから、その変遷は腑に落ちます。これが、「もともとシューティングゲームを作ろうとしてたんです」と言われたら、タイトル自体を変えたほうが良いんじゃないかと思いますけど(笑)。
田中:日本人でそのジャンルのゲームが好きな人たちは、けっこう近いところにいるというイメージはありますね。