■「悔しさをマネジメントする」という考え方
安藤:度を越して難しいとか、頭を使わなければ進められないゲームって、スマホゲームからはなくなりつつあるんですが、その揺り戻しはかならずあると思っています。それは、お二人の作ったゲームにも表れているんですよね。簡単にクリアできないゲームって、ゲームをやってないときもずっと攻略方法なんかを考えている。
田中:考えますねえ。
安藤:「あそこでこうやればよかったんじゃないか」ということが、ずっと頭の中にあって離れない。そういう部分こそが魅力でもあるんですよね。だから僕は、ゲームってもっと難しくていいんじゃないかと最近思っています。
新小田:僕も同意見で、最近「難しいゲーム」への揺り戻しが起きていると思っています。「クリアできないからこそおもしろい」というものの再評価が始まっている。初期の「
リアル脱出ゲーム」を手伝っていたことがあるんですが、あれは脱出成功率が10%を切るように基本設計されているんです。創始者の加藤隆生くんが「悔しさをマネジメントするんだ」と言っていて、クリエイターとして至高の名言だと思いました。悔しいという感情は、強いんですよね。続けていくモチベーションになる。
田中:『怪盗ロワイヤル』を運用してたときに、すごく大事にしていたKPIがあるんですよ。それを僕らは「タッチの差エラー」と呼んでいました。あるお宝を一人のユーザーが持っていて、それを数人で同時に盗りに行った時、タッチの差で取れない人が現れる。画面には「そのお宝はもう奪われています」と出るんです。これが、ある一定数値を超えていると、不満になっちゃうんですよ。でも、逆にこの数値が低すぎると簡単に盗れてしまっておもしろくなくなる。だから、僕らは「タッチの差エラー」の数値で、『怪盗ロワイヤル』のおもしろさを測っていました。
新小田:盗られてたら悔しいから、そりゃ毎朝5時に起きますよねぇ(笑)。
安藤:わかります(笑)。ちなみに新小田さん、『ウィザードリィ』のほかにも、好きなゲームはあります?