安藤:説得力があります。最後に玉置さんご自身が『サマーレッスン』を振り返ってみていかがですか?
玉置:よく「VRが好きだから『サマーレッスン』を作ったんですよね?」と聞かれるのですが、根本はそこではなく、生命の宿っているキャラクターを作りたかったんです。だから技術の新奇性に溺れたり、周囲の評価に振りまわされるわけにはいきませんでした。
VRのゲームを出すことが目的ではなく、人間だと思ってもらえる人物を生み出すことが目的だったんです。その試みが成功していると感じてもらえたらうれしいですね。
安藤:そうだ。最後にもうひとつだけお聞きしていいですか? 今流行しているバーチャルYouTuberについて。『サマーレッスン』の仕掛け人である玉置さんは、このブームをどう見ていますか? 玉置さんは「VTuberハッカソン」の審査員もされていましたよね。
玉置:「VTuberハッカソン」の真実を言うと、「PANORA」の広田稔さんと知り合いで、自分から審査員をやりたいと猛アピールした結果なんです(笑)。
安藤:貪欲ですね。玉置さんも興味があったわけですか。
玉置:東京ゲームショウ2015のステージで、モーションキャプチャーを使ってリアルタイムでひかりちゃんと会話するパフォーマンスを私たちも企画して実施したことがあったのですが、バーチャルYouTuberという発想には至らなかったんです。
だからキズナアイちゃんから始まった一連のブームは正直「しまった!」という思いで、悔しさも感じました。ユーザーさんたちが“中の人”ではなく、キャラクターそのものを純粋に愛している様子や、どこでも見ることができる間口の広さは素直にすごいと思い、ファンとしても企画者としても注目しています。最近はYouTubeの自分のアカウントがVTuberさんのチャンネルだらけになっています(笑)。
安藤:悔しかったという思いは、最初に話してくださった“衝動を企画にぶつけた”という話にも繋がりそうですね。これは玉置さんから新しい企画が生まれる前兆かも?
玉置:そうですね。そのままバーチャルYouTuberの企画という形になるかどうかはまったくわかりませんが、また何か新しい企画を考えるかもしれません。そのときにはぜひ応援いただければと思います。
安藤:若いクリエイターさんたちの心にも刺さる内容になったのではないでしょうか。本日は興味深いお話をありがとうございました!
CHECK!
■ファン待望! 『サマーレッスン】初のCDアルバムがいよいよリリース!!
『サマーレッスン】初のCDアルバムとなる「ドラマ&ミュージックアルバム サマーレッスン ~未来はいま~」が、7月18日(水)にリリース決定!
バイノーラル録音技術によって360度全方向の体験が楽しめる、ゲーム空間さながらの臨場感が表現された本アルバムには、ドラマパートやボーカルソング、サウンドトラックといったバリエーション豊かな全27トラックを収録。新たに書き下ろされたオリジナルのドラマパートでは、ゲーム作品中では出会うことのないひかり、アリソン、ちさとの3人が集結し、耳と心をくすぐる必聴のトラックとなっています。
また、Taku Inoue(バンダイナムコスタジオ)が作詞・作曲を手掛けた宮本ひかり(CV:田毎なつみ) 、アリソン・スノウ(CV:阿部里果)、新城ちさと(CV:畑中万里江)の3人が歌う新曲「未来はいま」も収録。アルバムタイトルにもなっている同楽曲は、YouTubeにアップされたダイジェスト・ムービーでも試聴可能! 気になる方は今すぐチェック!!
●発売日
発売中/2018年7月18日(水)
●価格
¥3,000(+税)
テキスト:カワチ(Makoto Kawachi) 1981年生まれ。ライター。ビジュアルノベルに目がないと公言するが、本当は肌色が多ければなんでもいい系のビンビン♂ライター。女性声優とセクシー女優が大好き。
ツイッターアカウント→カワチ@kawapi