『アズールレーン』李衡達×『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』谷口理対談──むせるほどに語りあうロボットアニメへの愛!
2018年2月──かわいいキャラクターを操作して敵を撃破していくiOS/Android向けゲーム『アズールレーン』と、サンライズが誇る硬派なロボットアニメ『装甲騎兵ボトムズ』のコラボが発表され、大きな話題を呼んだ。これは『アズールレーン』を運営するYostarの代表である李衡達氏が、日本のロボットアニメの熱心なファンであったから実現したコラボとなっている。
そこでシシララTVでは、そんな李氏と『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』などのプロデューサーを務める、サンライズの谷口理氏の対談をセッティング! サンライズのスタジオにて、ゲームDJ安藤武博の進行のもと、たっぷりと“ロボット愛”について語り合ってもらった。
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▲谷口理氏(写真左)と李衡達氏(写真右)。
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▲対談は谷口氏の所属する第1企画制作部 オリジンスタジオで行われた。オフィスには貴重な資料が満載!
安藤武博(以下、安藤):『アズールレーン』と『装甲騎兵ボトムズ』のコラボが実現したのは李さんが作品の大ファンであったからだとお聞きしました。そこで今回の対談では、李さんのロボット愛、そしてサンライズ愛を中心にお話を聞かせいただければと思います。まずは、なぜコラボ対象が『ボトムズ』だったのかという点について。『ボトムズ』にはフィアナのような美女もいますが、基本的には無骨なイメージの作品ですよね。

李衡達氏(以下、李):じつは以前、別媒体さんのインタビュー中、あまり考えずにその場のノリで「サンライズさんの『無敵超人ザンボット3』とコラボをしたい」と話してしまったことがあったんです。今思えば、インタビューに慣れていなかったんですね。本当に何も考えずに口にしてしまいました。

安藤:『ザンボット3』と言えば、サンライズ初のオリジナルアニメ作品ですよね。もともとは『ザンボット3』が第一希望だったんでしょうか。

李:はい。とはいえ『ザンボット3』はとても重くシリアスなストーリーで、エンディングも衝撃的な作品。自分はリアルタイムで見たわけではないのですが、当時の小学生はこれを見てよく精神的に耐えられたなと思っています(苦笑)。

安藤:人間爆弾など、トラウマになりかねない作品なんですよね。

李:あのときは無邪気に自分の好きな『ザンボット3』と答えてしまったのですが、その発言がツイッターなどで話題になりまして。それはそれでうれしかったんですけど、これはちょっと真面目に考えなければならないな、と。

安藤:李さんの思い出深い作品というと『無敵鋼人ダイターン3』よりも『ザンボット3』なんですね。

李:『ダイターン3』も好きですが、衝撃を受けたのは『ザンボット3』です。今でも忘れられません。

谷口理氏(以下、谷口):作品を愛していただいてどうもありがとうございます。『ザンボット3』や『ダイターン3』はどれぐらいの時期にご覧になったのでしょうか?

李:高校生のときですね。

谷口:あぁ、それならストーリーも理解できますよね。あの物語は、小学生には難解すぎて難しかったと思います。
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安藤:そうですね。わたしは小学生のときにリアルタイムで見ていましたが、物語が難しかった記憶があります。でも『ザンボット3』や『伝説巨神イデオン』がほかのアニメとは明らかに違うということは、幼いながらにも理解していました。

李:どちらも最終回はトラウマになりますね。でも『イデオン』のほうは物語のテンポも良かったので、ラストまで一気に見ることができました。逆に『ザンボット3』は展開がツラすぎて、すべてを見終わるまでに3ヵ月もかかってしまいました。

安藤:『イデオン』は物語も壮大ですよね。

李:自分は原作の視聴よりも先に『スーパーロボット大戦F』をプレイしていたので、おおまかな内容は知っていたんですよ。ゲームを遊びながら「イデの力はすごいな」と驚きました。

安藤:李さんがロボットアニメ、とくにサンライズ作品にくわしいことがわかってきましたが、まだ『太陽の牙ダグラム』や『ボトムズ』といった、高橋良輔さんの作品の名前は出てきませんね。そもそも『アズールレーン』と『ボトムズ』のコラボは、どうやって始まった企画だったんですか?

李:じつはサンライズさんから「インタビューでお話しされていた『アズールレーン』と『ザンボット3』のコラボの話は本気ですか?」と連絡をいただいたんです。

安藤:サンライズさん的にも乗り気だったということですか。では、最初は本当に『ザンボット3』とコラボをするつもりだったと?

李:ええ。その連絡をいただいたときはものすごく興奮しました。ただ、『アズールレーン』の世界観を考えると、『ザンボット3』とコラボするのは難しいとも思ったんです。とはいえ、せっかくのサンライズさんからのご厚意ですから、社内のプロデューサーとも相談しまして、別作品とのコラボ企画がスタートしました。

安藤:それが『ボトムズ』だったんですね。

李:はい。『ボトムズ』はとても有名な作品で、オープニングの歌詞に出てくる“むせる”という単語もよく知られていますので、『アズールレーン』にとってもすごく大きなコラボになると考えました。『機動戦士ガンダム』シリーズとのコラボは最初から無理だと思っていた側面もあります(苦笑)。

安藤:では、なぜ高橋良輔さんの作品のなかから『ボトムズ』を選んだのでしょう?

李:高橋良輔さんの作品というと『ダグラム』や『蒼き流星SPTレイズナー』などが思い浮かびますが、『レイズナー』は打ち切り的な終わり方でしたし、『ダグラム』も政治や宗教の話はストーリーに密接にひもづいていますので、コラボはなかなか難しいと思ったんです。

安藤:そういう意味でいえば、『ボトムズ』もかなりハードなストーリーですよね。

李:ボトムズはひとりの兵士が神の領域まで階段を上っていくストーリーなので、ハードな展開こそ多いものの、バッドエンディングではないと思っています。

谷口:李さんはストーリーや中身重視でコラボを考えているんですね。もっとビジュアル面で選んでいるのかと思っていました。
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李:そうですね。ただ2つの作品がコラボする以上、どうしても設定の合う合わないという部分はでてきます。それはある程度仕方ない部分なので、割り切ったところもありました。たとえば、ヂヂリウムを照射するカプセルを再現するというアイデアが浮かんだんですけど、それを『アズールレーン』の世界に軽々しく持ち込むのは不謹慎かなと思い、カットしたりしています。

安藤:今のお話しひとつとっても、李さんの『ボトムズ』への愛やこだわりが感じられます。谷口さんは、今回のコラボが実現することを聞いたときはどう思われましたか?

谷口:今回のコラボを担当したのは、社内では「ライツ営業部」と呼ばれるおもにサンライズの旧作を扱う部署なので、自分はコラボ自体に直接関わったわけではないんです。 ただ、コラボの実現が決まったことを耳にしたときは、『ボトムズ』はサンライズの作品のなかで、『アズールレーン』とのコラボに最も適したタイトルだとは思いましたね。

戦時下という世界観は違和感がありませんし、ビジュアル的にも『ボトムズ』のメカメカしいところは『アズールレーン』にもピッタリ合うな、と。ほかの作品だとファンタジー寄りになったりしますからね。
安藤:確かに『ボトムズ』はリアルよりで、戦艦もアーマードトルーパー(AT)も兵器色が強い。

谷口:弊社の作品でいえば、ほかには『戦闘メカ ザブングル』なども『アズールレーン』の世界観に合っているかもしれませんね。あとは『ガンダム』シリーズでも、ムサイやサラミスなら世界観に合いそうです(笑)。ただ、『ガンダム』はあくまでモビルスーツが戦いの主軸であって、戦艦にスポットがあたることは少ないので、ムサイやサラミスが出てきてもピンと来る人は少ないかもしれません。ホワイトベースぐらいになれば有名だと思いますけどね。

安藤:では、谷口さんは『アズールレーン』と『ボトムズ』のコラボを実際にご覧になっていかがですか? ロゴや次回予告の再現など、個人的には完璧な演出だったと思っていますが……。

谷口:そうですね。今回のコラボは自分たちではなかなか出せない『ボトムズ』の新たな引き出しだったと思っています。そこを開けていただけたことが、素直にうれしかったです。李さん、その節はどうもありがとうございました。

李:とんでもない! こちらこそ多くの『ボトムズ』ファンに『アズールレーン』を知ってもらえて光栄でした。

安藤:お話しを聞いているだけで、お互いがリスペクトし合う、いいコラボレーションになっていたことがうかがいしれます。
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谷口:今回のコラボはサンライズライツ営業部の渋谷が担当しているのですが、きっと彼は李さんがサンライズの作品を好きだということがわかっていて連絡したのだと思います。自分としては、サンライズ側からコラボレーションをお願いしたという流れがおもしろかったですね。普段、なかなかないことですので。よろしければ、李さんご自身が好きな作品をもっと教えてもらえますか?

李:そうなるとやはり『レイズナー』、『機動戦士Zガンダム』、『勇者王ガオガイガー』などは外せません。あとは『重戦機エルガイム』も好きですね。

安藤:『エルガイム』は美形キャラクターが多いですし、相性がいいかもしれませんね。しかし李さんの悩み方やチョイスされた作品は、日本のロボットアニメが好きなファンとほぼ変わらないように見えます。ここまで日本のカルチャーを取り込んでゲームを作る人が中国にいるとなると、もはや国境は関係ないようにも思えますね。

谷口:ちなみに、李さんはロボットもの以外にもアニメをご覧になるんですか?

李:見ますよ。ロボットアニメがダントツで好きなんですけど。

谷口:サンライズの作品で海外の方に人気なのは、圧倒的に『カウボーイビバップ』なんです。あれはロボットものではないのですが……。

李:『カウボーイビバップ』は大好きです!! そういえば、この作品にはソードフィッシュⅡなどが出てくるから『アズールレーン』とコラボしたらおもしろそうです。そうなると、今度は『無限のリヴァイアス』も候補に入れたくなりますね……。

谷口:ごめんなさい。火を付けちゃいましたね(笑)。でも、中国で生活されていた李さんが、どうやって日本のアニメ、サンライズのロボットものにたどり着いたのか気になるんですよ。ご両親の影響だったりしたんでしょうか?
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李:いや、それはないですね。当時は規制が少なかったので、今よりも自由に日本のアニメを見ることができたんですよ。それで『鎧伝サムライトルーパー』や『魔神英雄伝ワタル』などを見てハマッていきました。ちなみにこのへんの作品は、今でも主題歌を歌えます(笑)。

安藤:大ファンなんですね。『サムライトルーパー』や『ワタル』はリアルタイムでご覧になっていたんですか?

李:日本とのラグはありましたが、ほぼリアルタイムといっていいですね。その後は『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』にハマッていき、気付けばどっぷりとアニメ好きになっていました。そして中学のときに『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』を見て、あと戻りができなくなるという……(笑)。

安藤:『ポケ戦』から『ガンダム』シリーズに入ったということですか?

李:ええ。OVAということで話数が少なかったこともあり、入口としてちょうどよかったんです。

谷口:ご学友にもアニメファンが多かったのでしょうか?

李:はい。お互いに作品を貸し合ったりして見ていました。

安藤:日本のアニメファンと変わらないですね。李さんの遍歴を振り返ると、ロボットそのものはもちろん、戦記ものやキャラクタードラマにも心惹かれているように感じます。

李:まさにそうですね。人間ドラマが好きなんです。

谷口:ちなみに李さんは小さいころから今に至るまで、ずっとロボットアニメが好きなんですか?

李:はい。ずっと観ています。

谷口:それはめずらしい。日本のアニメファンの場合は、中学~高校のころにいちどロボットものから離れ、別のジャンルやマンガにいく方が多いんですよ。自分も中学時代にロボットものから一度離れたのですが、大学生のころにはじまった『新世紀エヴァンゲリオン』の影響でまた戻ってくることになりました。

安藤:日本のロボットアニメは関連する玩具商品が多いので、どうしても「子ども向け」というイメージが強いのかもしれません。

谷口:超合金を親に買ってもらったりしていましたね。

李:中国には日本の玩具はありませんでしたから、自分はストーリーを中心にロボットアニメを楽しんでいたと思います。

谷口:では、大人になってから、自分が好きだった作品の関連商品は買ったりはされましたか?
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李:はい。作るのは得意ではないですけど、HGシリーズのガンプラを買ったりしました。マスターガンダムやキュベレイを作ったりしていたのですが、今思えばなんでこの選択だったんだろう………当時は安かったのかな?(笑)

安藤:いちばん好きなモビルスーツはなんですか?

李:やはりZガンダムですね。それまでに登場したモビルスーツよりもスリムでスタイリッシュなフォルムに衝撃を受けました。とくに足のラインがセクシーですよね。

安藤:ご自身もプロデューサーとしてシリーズに携わられている、谷口さんとしてはいかがですか?

谷口:オフィシャルの場ではサザビーと答えるのですが、本当はガンダムMk-IIです(笑)。

安藤:渋いチョイスですね。でも、どうしてオフィシャルと趣味を分けているんですか?(笑)

谷口:作品としては『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が好きなので、サザビーと答えているんですよ。でも、モビルスーツ単体で考えるとガンダムMk-IIが1番好きなんですよね。

安藤:ちなみにわたしはリック・ディアスがいちばん好きです(笑)。それにしても予想以上にロボットの話で盛り上がりましたね。後編では『アズールレーン』のCMについてお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いします。

<後編につづく>

後編はこちら→話題の『アズールレーン』アニメCM、手がけたのはサンライズだった! 明かされる制作秘話

テキスト:カワチ(Makoto Kawachi) 1981年生まれ。ライター。ビジュアルノベルに目がないと公言するが、本当は肌色が多ければなんでもいい系のビンビン♂ライター。女性声優とセクシー女優が大好き。
ツイッターアカウント→カワチ@kawapi