[GDC 2016]「The Last of Us」の心に残る楽曲は,作曲家とサウンドデザイナーの信頼関係から生まれた。ギターの旋律を聞きながらのセッションをレポート
Sony Computer Entertainment Americaのミュージックマネージャーであるジョナサン・メイヤー氏が,GDC 2016で「The Last of Us」のサウンドデザインに関するセッションを行った。映画界で著名な作曲家グスターボ・サンタオラヤ氏を迎えて制作された同作のサウンドは,一体どのようにして生まれたのだろうか。
「The Last of Us」のBGM?と言われてすぐには思い出せない。だがPVや作曲家インタビューの動画を見ると、数々の名シーンとともに、自分の脳みその奥底から色々な感情が溢れ出してくるような感覚を覚えた。
僕はゲームのBGMをオファーするときに「ドラマティックである事」「鼻歌で歌える事」の二点だけをリクエストする。それでいくと本作のBGMは一見、劇的でもなければ鼻歌で歌うのも困難だ。
でもなんだろう?このゲームの音楽はやはりドラマティックであり、脳みそがはっきりと、ギターの旋律や扇情的なティンパニーの調べを刻み込んでいる。
これは優れた映画の劇伴のやり方だ。作品に馴染み一体化することを優先し、読後感からプレイヤーはじわじわと、トータルでその音楽の良さを感じる。それは決して分離されずに渾然一体となって迫ってくる。言ってみれば「空気」になりきっているのだ。そして「空気」がなければ生きていけないほど、それは作品にとって絶対不可欠なものになっている。
ボディブローは後から効く。そして一生忘れられないほどの印象をもたらす。実にハリウッド的なアプローチに、日本人としてどのように打ち返そうか。同じやり方ではなく、日本には日本のやり方があるように思う。一方でこのアプローチにも挑戦したくなる。考えは尽きない。