信田:「バッファを持ちましょう」という話は、経営層にすべきだと思います。個人的な考えですが、作り直す期間があるから「スケジュールを決めなくていいや」ではなくて、100までやったけど「この100を壊してもう一回作り直して、もっと面白いものにする」という意思を伝えることが大事だと思っています。
安藤:それだと会社の経営陣に対しての印象も変わるかもしれないですね。先ほどもおっしゃっていましたが、そこに関してポケラボさんは“待ってくれる”会社なんですね。とても理解がある。スケジュールを安く見積もるのはいけませんが、100%やりきって、さらに磨くところがあればスケジュールを伸ばしてもいいじゃん、というのはポケラボさんならでは良さですね。これは作り手にとっては良い環境ですよね。
信田:そうですね。ただプロジェクトによっては、どうしても守らなければいけないところもありますが。
安藤:OBTで色々な数値を見て、撤退の判断をされたと思いますが、具体的にどのような数字を重要視されたんですか。正式なサービスを開始していないので、売上は見れないですもんね。
信田:スタッフ全員に判断基準として伝えやすかったのは継続率です。継続率の目標は、まず弊社のほかのタイトルや過去のタイトルと比べてどうだったのかという点。そのほか、ゲーム進行中どこで離脱しているのか、その離脱を改修するためには、どれほどの開発工数がやり直しで必要になるかという点ですね。あとは先ほどのイベント運用の件もそうですが、お客様のコンテンツ消費速度なども調査していました。
そして、OBT期間中は毎月アンケートも取っていました。単純に「面白い」というコメントも、我々が届けたかった面白さと合致しているのかを確認したり、逆にダメだったところは改善していったりと、すべてを複合的に見て判断していきました。
安藤:先ほど我々の番組でコンセプトが実現できたとおっしゃっていましたが、アンケートでは想定とは異なる意見が寄せられたということでしょうか。
信田:どちらかというと、ポジティブな意見は7割ぐらいでした。内容も「スカッとする」「吹き飛ばしが気持ちいい」など、爽快感に関する内容が多かったです。ネガティブな意見は3割ぐらいでしたが、その内容はどれも一緒でした。
安藤:それは興味深いですね。どういう部分がネガティブだったのでしょうか?
(※この続きは後編の記事で)
【後編予告】
・ユーザーから寄せられたネガティブな意見
・信田氏が目指したのはコア向け? ライト向け?
・理想の開発現場に必要な職種とは
・最後にユーザーへメッセージ
テキスト:原孝則(Takanori Hara)
Pick UPs! 代表 / 編集者 / ライター / APPアナリスト 過去、ゲーム会社でマーケティング、広報、WEBプランナーなど多数のPR業務に従事。その後、Social Game Info 副編集長、Social VR Info 編集長を担当。現在は、ゲームとビジネスの観点で執筆・企画に尽力するほか、アプリデータ分析サービス「Sp!cemart」の編集長も兼務。
ツイッターアカウント→原 孝則@ha_tatsu