名古屋が良いゲームを生み出せる理由とは? スーパーアプリ・石橋氏が語る「変化と挑戦」(後編)
名古屋に拠点を置き、『ライバルアリーナVS』などの人気ソーシャルゲームを多数世に送り出している気鋭の開発会社・スーパーアプリ。東京オフィスも開設され、今後さらなる飛躍が期待されるこの気鋭の会社に、この秋“アプリ業界の先駆者”が電撃参入を果たした。その先駆者の名は『マジモン』などを手掛けた元・株式会社dango-の石橋広在氏。「フリートゥプレイ」のゲームを世に浸透させたパイオニアともいうべき石橋氏が、なぜスーパーアプリへの移籍を決断したのか? その思いを、ゲームDJ・安藤武博がインタビュアーとして直撃する本企画。
後編では、石橋氏の目から見たスーパーアプリという企業の強みや、近い将来クリエイターの聖地となる可能性を秘めた「名古屋」という土地の魅力をお聞きした。
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■今ゲームクリエイターを目指すなら名古屋がアツい! これからのクリエイターに求められるものとは
安藤武博(以下、安藤):ここまでお話を聞いてきて、石橋さんの「新しいことに挑戦し続ける」というチャレンジャーな人となりは分かってきたつもりなんですけど、ここで石橋さんがなぜスーパーアプリに入社したのかをお聞かせいただけますか? 社長の飯沼さんの前ではありますが、ぶっちゃけた部分までお聞きしたいのですが。
飯沼正樹氏(以下、飯沼):いえいえ、私のことはどうか気になさらず(笑)。
安藤:では、遠慮なく聞いちゃいますね。スーパーアプリはものすごく堅実というか、手堅いイメージがあるのに、じつはチャレンジングなこともいっぱいやっている企業です。『ライバルアリーナVS』はその典型。ゲーム性がすごく面白くてよくできています。理解してもらうのが難しそうなこのタイトルを、よくぞこのタイミングでリリースしたものだなと。外から見ていて、とてもユニークな会社だと思っています。
飯沼:ありがとうございます。
安藤:私の中では社長である飯沼さんは攻めながらも守る人で、石橋さんは攻めまくる特攻の人という印象があって、ものすごく相性がいいように思えるのですが、実際、石橋さんはどうしてスーパーアプリに入社されたんですか?
石橋広在氏(以下、石橋):もともとお仕事関係での繋がりがあったこともありますが、ひと言でいえば飯沼さんの人柄ですね。先ほども言いましたが、ゲーム事業って安定しないので危ない橋を渡らなくてはならない局面も多いじゃないですか。新しいことをやるということはそれだけリスクがつきまとうわけで、斬新なものを組み上げていくには、ちゃんとした誠実な人がしっかりと下地などを作り上げる必要がある。飯沼さん、そしてスーパーアプリには、その精神がしっかりと根付いていると思います。
安藤:なるほど。
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石橋:映画の「ゴッドファーザー」とかを見ていても思うんですけど、どの業界においても、リスクを背負っているときに裏切るとか舐めた態度とかはご法度じゃないですか。一緒に危ない橋を渡ろうというときは、やっぱり誠実な人たちと一緒じゃなければと思いますよね。
安藤:リスクがあっても筋を通せるかどうかってことですよね。わかります。しかし、石橋さんは落ち着いた雰囲気の方なのに、発言が時々凶暴ですね(笑)。まさかここでのたとえが「ゴッドファーザー」とは。
飯沼:尖ってるんですよね(笑)。さすがは攻めの人。
安藤:ものすごく好きです、そういうところ。
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石橋:でも、凶暴さというか「わけのわからない部分」という意味でいえば、私からすると飯沼さんもお持ちの部分だと思いますけどね。先ほども話題にのぼりましたが、ゲーム業界って、もしヒットを飛ばしても3年後にはどうなっているかわからないような業界じゃないですか。そういう意味では、どこかネジが外れている人じゃなければこの海を渡っていけないと思うんです。そんな中で、飯沼さんはものすごく誠実でロジカル。どんなことがあっても途中でそれを放り出したりせず、しっかりとまとめるバランスというか、安定感をお持ちの方だと思います。
安藤:そんな飯沼さんだからこそ、石橋さんは安心して背中を預けて、前だけ向いていられるってことでしょうか。では、飯沼さんから見て石橋さんはどういう印象ですか?
飯沼:じつはまったく一緒なんですよ。うちの役員と石橋さんについて話をしたとき、「ものすごく誠実な人ですよね」「こういう方であれば組織を前に進めようとしたとき、安心してお任せすることができるよね」と話題になったんです。
安藤:ええっ、まさかのシンクロ!? でも、この身に秘めた凶暴さにまでは気が付いていなかったんじゃないですか?(笑)
飯沼:いや、たしかにそこはあまり……。
(一同爆笑)
飯沼:でも、ゲームを作るにあたっては、オリジナリティって凶暴性の現れでもあると思うので、そこはまったく心配していませんよ。むしろ、そういう部分を持っているからこそ、面白いゲームを作れるって期待感はあります。
安藤:スーパーアプリは、許容量が大きそうですもんね。飯沼さんのキャパが大きいってことなのかも。
飯沼:私としては、これまでの実績はもちろんですが、何より石橋さんが面白い人だからこそ、一緒に仕事をしてみたいと思ったんです。『マジモン』のような変わったタイトルを生み出せる人ですし、オリジナリティに長けている人だと思うので、きっとスーパーアプリにとっても大きな推進力になってくれるんじゃないかと期待しています。
石橋:ありがとうございます……大丈夫ですかね、買い被りすぎじゃありませんか?(苦笑)
飯沼:いえいえ、期待していますよ本当に!(笑)
安藤:具体的には、どのようなお仕事を担当されているんでしょう?
石橋:飯沼さんのお手伝いをしたり、プロジェクトをより円滑に回すためのパイプラインを作ったり……ひらたくいうと何でもやっていますね。
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安藤:飯沼さん、石橋さんのダブルエンジンというか、エンジンにターボが搭載されたようなものですか?
飯沼:そうですね。私1人ではどうしても手が回らないスキ間を、石橋さんに埋めていただいている形というのが近いです。
石橋:飯沼さんの頭の中にある構想を具体化して、それを現実のものにするには何をどうすればいいのかを考えて現場に落とし込んだり、投資すべきところを決めたりしていますね。
安藤:ちなみに、入社から1カ月ほどが経過するとのことですが、中から見てのスーパーアプリの印象はいかがです?
石橋:すごく働きやすい環境で驚いています。全体像がしっかりとしているので、私としても自分のすべきことがはっきりしていますし、それに対してしっかりと任せてもらえているので、ものすごくやりやすいですよ。
安藤:たしかに、スーパーアプリの他のクリエイターさんとお話ししていても、風通しのいい印象を受けますね。飯沼さんを頂点としたピラミッドというよりは、ものすごくフラットなイメージというか……。
石橋:そんな空気感も手伝ってか、みんな前向きで明るいスタッフが多いんですよ。他社と比較して、女性クリエイターが多いのも印象的ですね。東京で働いているクリエイターさんって、せかせかしているというか、どこかスレている印象があるんですけど(苦笑)。名古屋という場所柄か、はたまた飯沼さんの人柄もあってか、スーパーアプリのスタッフは仕事に対しての向き合い方がまっすぐなんです。それが働きやすさにつながっている側面もあるので、相乗効果ですよね。
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安藤:若手が多い印象もありますけど、いかがです?
石橋:その通りだと思います。私から見たら若さゆえというか、ずいぶんかわいい悩みを持った人もいますね。でも、総じてやる気とモチベーションは高いので、問題点もありますけど、それは1つ1つ改善していけばいいのかな、と。
安藤:石橋さんは東京から名古屋に拠点を移した形になると思いますが、不便を感じることなどはありますか?
石橋:むしろ逆ですよ。オフィスなんて駅に直結していますからね。ほとんど駅ですよ、ここ。東京だったら、このオフィスの経費だけで幾らかかるのかわからないほどすごいです。
安藤:通常であれば、ホテルや百貨店が入るような立地ですもんね。働きやすさとしてはこの上ないだろうなと思います。
石橋:不便に感じることは何もないですよ。これは東京でしか働いたことがないような人、また東京での採用試験で合格して名古屋に来ていただく人にも、安心してほしい部分ですね。土地柄もいいですし、たとえば道路なんかもとても広くて、設備的には東京よりもいいかもしれません。
安藤:平米当たりのコストのかけ方は、名古屋のほうが上かもしれませんね。土地があるから、何もかも余裕をもって作れるというのは大きい。東京や大阪とのアクセスがいいのも素晴らしいですよね。ちなみに、食事は舌に合いますか? 名古屋といえば、食べ物が個性的でおいしいものも多いと思うのですが。
石橋:じつはまだそこまで手を広げられていないので、それはこれから確かめたいですね。ただ、きしめん好きな先輩がいるので、きしめんに関してだけはだいぶ網羅できてきました。本場のお店で食べるきしめんは、本当にクセになりますね。
安藤:先ほど、スーパーアプリにはスレたクリエイターがいないとおっしゃっていましたけど、それは東京に比べると、ゲーム開発の邪魔になるようなノイズが入りづらいからかもしれませんね。
石橋:たしかに。ゲームは長い期間をかけて制作を手掛けていくことになるわけですが、東京という街はいつもギラギラしていますし、とにかく情報が多いので、便利ではあるものの雑音も耳に入りやすいんですよね。その点、名古屋はそういったノイズはほとんどありません。こと営業面に関して言えば、東京にオフィスを構えたことはものすごく意義があると思いますが、モノ作りに関してとなると、名古屋の環境はゲーム開発にとても優れていると思います。
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安藤:眠らない街ですから、東京は。それが時に、クリエイターにとってノイズになるという側面はあると思います。
石橋:プロデューサーともなるとまた別ですが、ゲームクリエイターって基本的に内にこもってのデスクワークがメインになりますから。余計な情報が目や耳に入ることなくゲーム開発に打ち込めるというのは大きいですよ。モノを作るというときに、そういった閉鎖感は必要なのかもしれませんね。
安藤:閉鎖感といってもネガティブな意味ではなく、環境がいい自然の自習室のようなもの。それに、今やどこにいても情報が手に入らないなんてことはありませんから。あえて東京に固執する必要はどんどんなくなっているような気がします。
石橋:少し前までは、いかに多くの情報を蓄えているかが重要な時代もありましたが、今は情報量よりも質のほうが重要になっていると思うんですよ。それをいかにして取捨選択できるかどうか……そちらのほうが大切なのではないでしょうか。
安藤:では、スーパーアプリで石橋さんがやりたいことについても教えてもらえますか?
石橋:先ほども言った通り、海外への突撃は諦めていません(笑)。現在のゲームやITの中心地はアメリカ、サンフランシスコやロサンゼルスだと思うんです。そこに進出して何かを残すことは、私の最大の目標といえますね。今のスーパーアプリの規模で考えると、まずは台湾などのアジアから規模を拡大していくのが現実的かと思いますが、いつかはアメリカ進出! そこで勝利できれば、世界を制したと胸を張って言えると思います。
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安藤:夢は世界制覇ですか……。そのために、石橋さんから見て今のスーパーアプリに足りないところはどこだとお考えでしょう?
石橋:弱いところというか、これまでにやってきたものに満足してしまわず、それを超えようとする気持ち、新しいことへのチャレンジ精神が重要だと思います。たとえ技術的にはまだ足りていなくても、気持ちさえあれば超えていけるものってたくさんあると思うんですよ。そういう意味では、この秋に飯沼さんが東京にオフィスを構えたということは、ものすごく前向きでいい傾向だと思います。外のみならず、内に対しても「まだまだスーパーアプリは変化していくんだ」という、強い意思を示していると思うので。
安藤:常に新しいことを求め、常に変化を続けていくということ。それはクリエイターにとってものすごく大切なことですよね。昨今、ゲームの開発にどんどんお金がかかるようになってきていますが、たとえば10億円をかけて11億円稼げるゲームを作っても、7千万円をかけて1億7千万円を稼げるゲームを作っても、結果としては同じわけです。横綱相撲を求められる会社はあると思いますが、スーパーアプリはそういった側面は横綱に任せて、アイデアでなんとかしようと考えている。それこそが、スーパーアプリならではの堅実さであり、求められる新しさなんですよね。まずはアイデアファースト。それこそが、飯沼さんが提唱する「感動の創造」に繋がっていく道なのかも。
石橋:まさにその通りだと思います。とはいえ、変わっていくことが怖いという人もなかにはいるでしょう。行きたい目標先は見えているけど、そこに至るまでのハシゴがないと怖くて進めないって人もいると思います。そういった人には、道筋をはっきりと説明してあげたいと思っています。説明してわかってさえもらえれば、実力がある人は多いので、きっと今より素晴らしい作品をどんどん作っていけるのではないでしょうか。
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安藤:では最後に、そんな石橋さんがスーパーアプリで一緒に働くとしたら、どんな人材が望ましいですか?
石橋:物事に対して真面目に、誠実に取り組める人がやりやすいですね。精神論になりますが、やる気と誠実ささえあれば、その他のことは教えてあげることができますから。「名古屋に移住してでも!」ってくらいの心意気で来ていただけるとうれしいです。環境は本当に素晴らしいので、煩わしい雑事に惑わされることなく、ゲーム開発に集中したい人にもオススメです。繰り返しになりますが、大切なのは技術ではなくて中身。見た目などのスタイルではなく、心の奥にアツいこだわりを持った人とこそ一緒に、ゲームを作り続けていきたいです。
安藤:アツいメッセージ、いただきました。本日はありがとうございました。
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