ラー油です! 前回、あんまりにもあんまりなゲームを記事で取り上げてしまったせいで、シシララTVから追放されてしまったするめ(以下)マンさんの代わりに、急遽彼のコラムを引き継ぐことになりました!
本当にどうしようもないな、あの人は! するめさんも、もう1回「SIMPLEシリーズ」をプレイして、常識というものを身に着けて欲しいですね。
たとえば「SIMPLE1500実用シリーズ」の『SIMPLE1500実用シリーズ Vol.14 暮らしのマナー ~冠婚葬祭編~』を遊んでおけば、もう少し人としてのマナーを身に着けられたのではないかと思いますし、実用的なものじゃなくても「SIMPLE DSシリーズ」の『SIMPLE DSシリーズVol.9 頭がよくなるTHE目のトレーニング』を遊んでおけば、もっと頭の回転が速い人になっていたのではないかと。
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第2回目のコラムはコチラ→【東京ダーク】鎌倉に住むイギリス人が描いた東京の“闇”
第2回目のコラムはコチラ→ボクが好きな物はみんな好きなはず! こだわりを感じるインディーデベロッパー特集
……いや、過ぎてしまったことを言っても仕方がない。これからはまともなインディーゲームだけが紹介されていくと、前向きに考えていきましょう! さて、(一応)連載4回目として紹介するのは、よくわからない格闘ゲームや下品なミニゲーム集ではなく、前回するめ(以下)マンさんが予告していたコチラ!
その名も『Fight'N Rage』!
ウルグアイのデベロッパー・Seba Games DevがSteamで配信しているタイトルで、価格は1980円。いわゆる「横スクロールベルトアクションゲーム」というジャンルの作品で、パンチ、キック、スペシャルアタック、落ちているブーメランや鉄パイプを駆使して相手をボコり、画面内の敵を全滅させて進んでいくオーソドックスなタイプになっています。
ベルトスクロールと言っても『熱血硬派くにおくん』や『ダブルドラゴン』『ベアナックル』などその歴史は古いわけですがが、このゲームは言うなれば、往年の歴代ベルトスクロール詰め合わせ! とくに、カプコン作品に対する熱いリスペクトが感じられ、ドラム缶を殴れば、ナイフや食べ物が『ファイナルファイト』のように出てくるのは当たり前! 「俺はベルトスクロールが好きだ!」とほとばしる感情が、これでもかと詰め込まれています。
主人公や敵キャラクターのモーションは、ベルトスクロールというよりも格闘ゲームリスペクト。『サムライスピリッツ』の不知火幻庵みたいに回転して攻撃してくるボスや、『ストリートファイター2』のベガそのものなスライディングをしてくる敵など、どこかで見たようなモーションが満載です。
くわえて、プレイヤーキャラクターまでもが往年の名作詰め合わせ。
まずは『餓狼伝説2』の不知火舞のような忍者っぽい必殺技を持ち、ドット単位で胸がバルンバルン揺れるGAL。スクリーンショットではこの胸の揺れ、その柔らかさがまったく伝わらないのがもどかしい!
とにかく揺れるので、プレイヤーがほかのキャラを選択しようとする心も揺れて、結局GALを選ぶ人が多いと思われます。スピードはありますが攻撃力と体力が低く、初心者向けではないので、胸だけで選ぶと痛い目に合うから注意が必要。それでも胸揺れにこだわるなら……もちろん止めはしないさ……!
2人目のRicadoは、パワーファイター。ベルトスクロールの雄『ファイナルファイト』でおなじみハガー市長のようなハンマーパンチと『ストリートファイター2』のサガットが使うタイガーアッパーカットのような技で豪快に戦います。っていうか、まんまタイガーアッパーカット。格闘ゲームをあまり遊ばない俺でもわかるぞ!
3人目は『ストリートファイターZERO3』のガイのコンボや必殺技と、『龍虎の拳』の暫烈拳を併せ持ったようなF.Norris。敵をつかんだらモズ落としもできます。彼は、攻撃力とスピードのバランスが良く、おそらく一番初心者向けのキャラクターではないだろうか。
ほかにも、歴代のベルトスクロールや格闘ゲームのオマージュが多く、かといってただの丸パクリではなく、きちんとこのゲームのバランスとして落とし込んでいます。制作者が好きなものを包み隠さずぶち込んでいる作りが、清々しくてじつに気持ちいい。
■敵も味方もヌルヌル動いてひたすら気持ちよいアクション!
こういうリスペクトは、ただぶち込むだけでバランスがとれていないと台なしなのですが、そこも一切手抜かりなし! リスペクトこそしていても古臭さはみじんもなく、しっかり現代的なゲームにチューニングされています。
通常の攻撃やジャンプ攻撃から、方向キーとの組み合わせで変化する「スペシャルアタック(必殺技)」につなげて、さながら格闘ゲームのようなコンボを決める爽快感! スペシャルアタックはSPゲージを消費するか、体力を削って発動するシステムになっていますが、ゲージ自体がたまりやすく、敵の攻撃を受けているときにも使えるので防御手段にもなります。
コンボの自由度も高く、ベルトスクロールのキモである「テンポよくぶっ飛ばす」行為がしっかり楽しめて、ひたすら気持ちよく殴れるのもすばらしい! 逆に言うと、それだけ敵が多く出現するわけでもあって、後半の難易度は高めですね。
ボスも投げ抜けやスペシャルアタックでの切り返しを使ってくるので気が抜けません。プレイヤーもボスも平等! ちなみに、このゲームは結構投げが暴発しやすく、ボスを間違ってつかむとカウンターを食らうので、そこそこ注意が必要です。
敵の処理を怠って先に進みすぎると、上の画像のようになります。俺はどこにいるんだ! ほかにも、狭いところで戦うステージは敵が多すぎて乱戦状態になりますが、切り返せる技は多いので、慣れで上達を感じられるのもいいところですね。
遊べば遊ぶほどベルトスクロール愛を感じるデキなので、「こんなに愛があるなんてどんなデベロッパーなんだろう……」と調べたら、開発はSebastian Garsiaという方が個人で行っている模様。BGM以外は全部1人で作っていることが分かった結果、余計「何者なんだSebastian Garsia……」という感情が深まるだけだったのですが、数々のオマージュも「好きなら仕方ないな!」と納得ですよ。
■“彼女がいなくても一緒にゲームを遊ぶ”という単純な幸福が味わえる!
純粋なベルトスクロールとしてもよくできていますが、遊べる要素が異常なまでに多いのも特徴。ゲーム内で稼いだスコアに応じてもらえるコインを使うことで、格闘ゲームのように1対1で戦う「BATTLE MODE」、敵キャラクター(BATTLE MODE専用で使える)や新たな衣装などが解禁されていきます。
ノーマルでも難易度が高めなのですが、コインを貯めてアンロックすれば技の練習ができる「トレーニングモード」や「イージーモード」も解禁できるので、クリアできない人でも安心です。イージーとノーマルの解放される順番が逆なのでは……? と思わなくもないですが、選べるだけよしとしましょう!
いかにもな90年代臭のするお姉さんに、コインを払って解禁するシステムが好きですね。英文で書かれる説明も理解できないレベルではないのですが、ゲームの出来が良いので早急に日本語化してもらいたい!
さらに、すごいのが「Cpu Partners」。このゲームは最大3人までの協力プレイが楽しめるのですが、残念ながらオフラインローカルのみになっています。友だちや彼女と楽しく『Overcooked - オーバークック スペシャルエディション』を遊べるような人はともかく、協力プレイで一緒に遊んでくれる人がいない俺のような人間は、彼女の作ったカラアゲの味を想像しながらコントローラーを1人で2個操作するしかありません。
ところが、この「Cpu Partners」を解禁すれば、なんとCPUをパートナーにして3人協力プレイが楽しめます! AIもおバカじゃなくて、しっかりと考えた動きをしてくれるので大満足! もう、1人でコントローラーを2個操作する必要はありません。難易度的にも協力プレイで遊んだほうが乱闘感を楽しめるゲームなので、これはいい配慮。
もっとも、「Cpu Partners」を解禁するためには「ノーマルモード」のクリアが条件になっているので、苦手な人の救済にはなっていないのですが……。やっぱり、解禁する順番が逆じゃねーか!!
どうしてもノーマルモードをクリアできなくて「Cpu Partners」を解禁できない人は、3人プレイを選んで残り2キャラをオトリとして放置する「木偶の棒作戦」でプレイしましょう。このゲームは仲間が生き残っている限り、残機が0になってもその場で復活できるシステムがあるので、自機以外のキャラを操作しないで放置してもメリットがあります。
敵の攻撃も分散して、実質的に難易度が下がるからいいことばかり! 「むなしい」という1点にさえ目をつぶれば、有効なテクニックです。
■分岐ルートに大量のマルチエンディングで遊びごたえバッチリ!
アンロックで解禁できる要素が多いと言っても、ゲーム本編が単調だと同じステージを繰り返すのはツライでしょう。その点もしっかり対策されています。基本は9ステージなのですが、隠し通路によって細かくルート分岐や追加ステージが登場し、マルチエンディングで物語の結末も変化。エンディングはセリフが変わるだけなので物足りなさはありますが、ルート分岐はかなり凝っています。
アンロック要素のためにコインを貯めるやり込み要素と合わせて、繰り返しのプレイも苦痛を感じるほどではありません。ラスボスや後半のステージが同じなのはやや残念ですが……。
ステージ自体も、いかだで川下りをしたり、エレベーターに閉じ込められて振ってくる敵をぶん殴っていったり、まさにベルトスクロール! ゲーム開始直後に逆方向に移動してみると「逃亡ルート」が始まり、ここでしか出てこない人間のモブキャラクターが登場するなど、分岐先も手抜かりのない凝り様。
デフォルトがブラウン管風の画面演出になっていて画面の隅が丸まっているとか、コンティニュー画面がアーケード風でイチイチ9から0までカウントするとか、細かいこだわりも多く、ベルトスクロールが好きだからこそ、愛だけにとどまらない作り込みが魅力です。
ベルトスクロール愛と言えば、同じようにステージとキャラの作りこみが素晴らしく「SIMPLE2000シリーズ」のなかでも屈指の1本である『SIMPLE2000シリーズ Vol.64 THE スプラッターアクション』がありますが、そちらと同じくらい作り手の気合がバリバリに伝わってくる1本ですね!
……というわけで今回のコラムは以上。久々に良作のベルトスクロールを遊んだので、俺も心が熱くなってきました。もう、自分の中に滾る熱い血が抑えられない!
そう叫ぶと俺は服を脱ぎ捨て、ベルトを手にもって生まれたままの姿で公園へ突撃した。
冬の刺すような冷たさと、周囲の刺すような視線が俺の覆面に突き刺さる。
これが本当のベルトスクロールじゃ! 「SIMPLEシリーズ」を買えオラァ!!
飛び交う悲鳴。ザコ敵のように群がる警官と「君ィ! 何をしている!」という怒声。
しかし俺はそんなものを意にも介さず……
謎の声:おいコラァ、するめ(以下)マン!! 人に成りすまして適当なこと書いてんじゃねえ! のしいかにするぞバカバカしい!!
ラー油(?):ヤバイ! 本物のラー油さんにバレた!
謎の声あらため、ラー油:「ヤバイ!」じゃねえ! 黙って読んでたら、最後のほうで本性を出してきやがって……。「今回、ラー油さんになり切ってコラムを書きたいんですけどよろしいでしょうか?」って殊勝な態度で言ってきたから許可したのに、ムチャクチャなこと書くんだから油断ならないな、この人は……。
ラー油あらため、するめ:いや、ははは。落ち着いてください。最初は、全裸のラー油さんが「おっぱい丸出しの女の子がビームを出しながら宇宙人を駆逐するベルトスクロール」を紹介するという原稿にする予定だったのに、グッとこらえて我慢したんですよ。これでも、大きな進歩でしょ?
ラー油:(まるで成長していない……)。いいですか、するめさん。前回の記事でち●このゲームを紹介したせいで“いろいろな方面に怒られてTwitterのDMでしおらしく反省”してましたよね? あれはポーズだったんですか?
するめ:やめてくださいよ。DMの話をバラすのは! あれ、いつもの記事の3倍の労力がかかってるのに、それまでの5倍は怒られて、おまけにギャラは据え置きなんですよ。まったく割に合わないんだから!!
ラー油:前から、思ってたんですけど、本当に生き方が損だけで構成されてるんですね……。
するめ:そんな目で見ないでくださいよ! オホン。えーと、時間がかかって掲載が遅れてしまったので次は早めに原稿を送りたいと思います。では、また次回会いましょう。するめ(以下)マンでした。
ラー油:次回は成りすましの許可はしませんよ。つーか2度としない。
するめ:えぇーーー! そんなぁ~!!