「PROP」はユーザーコミュニティの架け橋となるハブを目指す──アドウェイズ横田雄士×Twitter Japan瀬尾洋徳×ゲームDJ安藤武博 鼎談
2017年9月21日、株式会社アドウェイズがゲーマー名刺プラットフォーム「PROP(プロップ)」をリリース。家庭用ゲーム、スマートフォンアプリ、アーケードゲームなどあらゆるデバイスやプラットフォームのゲームを対象に、ユーザーが自分の好きなゲームごとのデジタル名刺を作成することが可能なこのサービスは、スマホRPG『黒騎士と白の魔王』とのコラボレーションでも話題となっている。
毎月リリースされるゲームの数も増え、自分の好きなゲームを遊んでいるユーザーを発見し、繋がることや、情報収集することが難しくなっている昨今。「PROP」は、そういった問題を解決するために、新たなコミュニティを作るのではなく、“コミュニティとコミュニティを繋げること“と“ゲームとユーザーを繋げること“、そして“ユーザーとユーザーを繋げること“ができる場所として誕生したという。

今回はその「PROP」の仕掛け人である横田雄士氏をゲームDJが直撃! Twitter Japanの瀬尾洋徳氏にも同席していただき、「PROP」の展望やゲームとユーザーコミュニティの関係について深く語ってもらった。
01
▲写真左から瀬尾洋徳氏、横田雄士氏、安藤武博。
開発のきっかけは「自分が同じゲームの仲間が欲しかったから」

安藤武博(以下、安藤):本日は、横田さんのお作りになった「PROP」についてお聞かせ願えればと思います。「ユーザーが自分の好きなゲームごとのデジタル名刺を作成できる」という、画期的なサービスですね。

横田雄士氏(以下、横田):「PROP」の構想のきっかけは、もともと自分が新しいゲームをはじめたときに、同じゲームを遊んでいる仲間を探す方法がなかったからなんです。すでに流行しているタイトルであればいいのですが、新規タイトルだとユーザーも情報を発信していなかったりして情報が見つからないんですよね。そういった問題を解決したかったんです。

安藤:横田さん自身が、プレイヤーとして困ったことが制作のきっかけだったんですね。

横田:はい。今やっているゲームについて、個人が語ること自体はTwitterをはじめとしたソーシャルメディアで出来ますが、それを各ゲームごとに仲間同士で気軽に集まって、だけどより濃密に表現できる場が必要だと思い、サービスを考えてみました。

安藤:確かにそういったサービスって、mixiのコミュニティ以降少なくなってしまいましたよね。

横田:ユーザー同士のつながりになればと思って作ったサービスであるため、逆に言うと現状はまだ中身がほとんどないんです(苦笑)。ゲームで例えるなら、ハードはあってもソフトはない状況というか。
02
安藤:今はひたすら人に集まってほしい時期なんですね。

横田:その通りです。ただ、今は「PROP」に人を集めることよりも、ひとつひとつのゲームとしっかり連携するところに力を入れています。

安藤:具体的にはどういった活動をされているのでしょうか?

横田:名刺を簡単に作れるように、ゲーム内で「PROP」と連携していただいています。あとはゲームごとに便利なツールなどもを提供させていただく予定ですね。たとえば『黒騎士と白の魔王』は、すでにオリジナルデザインの名刺を作れますが、今後ほかの機能も提供できるようにメーカーさんと話し合っているところです。

安藤:わたしも『拡散性ミリオンアーサー』を作っていたときに、ユーザーのコミュニティが必要だと思って早い段階でカヤックさんのLobiを実装したのですが、やはり制作的には優先度が低いんですよね。なぜなら、どのメーカーさんもまずはゲームの中身やサービスをしっかり作りたいという想いがあるから。そのため、ゲーム外にちゃんとした専門のコミュニティがあるのはとてもいいことだと思います。「PROP」のような形なら、複数のタイトルをプレイしている人でも便利です。

横田:ありがとうございます。あとは“ぽこぽこ交換”という機能を搭載していて、ゲームユーザー同士がこの機能を立ち上げると、同じ場所にいたユーザーの名刺データが自動受信できるようになっています。スマホゲームだけでなく、アーケードゲーマーの集まるゲームセンターのような場所でも面白いことが仕掛けられないかなと思いまして。

安藤:ところで横田さんが今着ているそのジャージ、「PROP」のロゴ入りなんですね。もうグッズを作ってる(笑)。
03
横田:ええ、見切り発車で作ってしまいました(笑)。

瀬尾洋徳氏(以下、瀬尾):そのロゴにはどういう意味が込められているんですか? よく見ると指の形をしていますね。

横田:はい。ユーザー同士がつながるサービスということで「この指、止~まれ」というイメージですね。あとはドヤッている感じで「俺がいちばんだ!」という意味も含んでいます。

瀬尾:キャラクターの顔も特徴的ですね。

横田:「プッ」っていう口の形をモチーフにしてるんです。ちなみにキャラクターの名前はプップちゃん。

安藤:かわいい(笑)。「PROP」という言葉にはどういう意味が?

横田:ヒップホップ用語なんですよ。「正当な評価」とか「多くの人々から寄せられた尊敬の念」という意味。あとは語感が「プロフィール」や「プラットフォーム」に似ているからですね。

安藤:横田さんがダジャレ好きだということがわかった(笑)。今後、ユーザーさんに「PROP」をどのように使ってもらいたいとお考えですか?

横田:コミュニケーションの場が分散してしまっている気がしたので、それをひとつにまとめるハブのような存在として活用してもらえればと思っています。すでにTwitterやLINE、Discodeといったツールがあるなかで、今さら新しいコミュニケーションの場を作ろうとしているではないんですよね。

瀬尾:確かに今のTwitterは、意外とユーザー同士の横のつながりが薄い場合もありますからね。個人が思ったことを発信することのほうが多いので、結果、交流するためのツールという側面はあまりないかもしれません。
04
■「PROP」でユーザー同士のコミュニケーションはますます広がっていく

安藤:「PROP」は、ユーザー同士のより深いコミュニケーションに繋がるきっかけになりそうですよね。もともと、ゲームの楽しさはコミュニケーションによるところも大きい。昔、学校で仲間と放課後にゲームの話をするのが面白くてたまらなかったんですけど、それっておっさんになった今でもあまり変わらないと思うんです。気の合う仲間との意識の共有というものは、何事にも代えがたい。

横田:確かに。ただ、実際のところは今から新しいコミュニティを作ったり、既存のコミュニティに飛び込んでいくというのは、それだけで大変だと思うんです。

安藤:今はゲームの数も多いですし、どうしてもすでに流行しているものをプレイしてしまいがちですからね。

横田:だから「PROP」は、そのゲームをプレイしている全ユーザーと、自分がピック(フォロー)したユーザー一覧、ふたつのフィルターでタイムラインを追うことができるようにしました。たとえばゲームの新イベントで周回が必要なクエストが出てきたとき、“周回”というキーワードで検索すれば、効率的な周回方法を手軽に探すことができます。
05
安藤:確かに“周回”とだけTwitter全体で検索しても、違うものばかりヒットしてしまうでしょうね。ハッシュタグは便利な機能ですが、それをすべての人ユーザーさんが使っているとも思えません。

瀬尾:そうですね。

横田:そのため、まずは「PROP」内で気になるユーザーを見つけてもらい、そのうえでその人のTwitterをフォローしたり、ゲーム内でフレンドになってもらったりすればいいのかなと思っています。

安藤:ユーザーさんのメリットについては把握できましたが、ゲームメーカー側は「PROP」に参加しているとどのような恩恵を受けられるのでしょう?

横田:現在我々は、ゲームメーカーさんが新しいことをやりたいと思ったとき、汎用的な機能を提供して「こういったことができます」と言うのではなく、「こういったゲームであれば「PROP」でこういう仕掛けができますよ」といった提案をさせてもらっているところです。逆に「こういう機能を追加してほしい」という相談にも対応できると思います。

安藤:つまりは、一緒にクリエイティブな制作ができるというわけですね。それはクリエイターもうれしいと思います。現状では似たり寄ったりになってきているスマホゲームのマーケティングに、一石を投じる可能性がありますね。たとえば初代プレイステーションやセガサターンの時代は、マーケティングの方法も個性的でさまざまで面白かった。この「PROP」の登場をきっかけに当時のような活気が生まれることを期待しています。

横田:『黒騎士と白の魔王』のグラニさんが、Twtterを使った変わったマーケティングを展開されており、自分はその部分に共感してお声がけさせていただきました。

瀬尾:一般ユーザーが『黒騎士と白の魔王』の広報大使になる“黒騎士アンバサダー”ですよね。
06
安藤:わたしもゲームプロデューサーなので「面白いマーケティング展開をしているな」と思いました。

横田:そうですね。きっとユーザーさんもほかのフォロワーさんが別のゲームについてつぶやいていると、それが気になってゲームをはじめることも多いと思うんですよ。

安藤:フォロワーが多くて拡散力のある声優さんが、作品のことをつぶやいて広めるのもそれはそれでいいのですが、それとは違う角度から作品の熱量が上がるのは面白いと思います。その熱量でコミュニティが話題になるのは、作品の盛り上がりかたとして健全ですから。

横田:ユーザーさんには「PROP」を通じてTwitterで盛り上がってほしいと思っています。しかし、漠然と「つぶやいて欲しい」と言っても難しいと思うので、今後はゲームごとに仕掛けを考えていかなくてはいけないなと考えています。

安藤:Twitterはわたしも前の会社を退社してから使うようになったのですが、コアなゲームの話をするとフォロワーが減っちゃったりしますし、使い方が難しいなと感じる側面もあります。

瀬尾:確かに。ユーザーさんがTwitterを止めてしまう理由の多くに「なにをツイートしていいのかわからない」というものがあります。その“ツイートするきっかけ”を「PROP」が作ってくれたら、こちらとしてもうれしいですね。
07
横田:先ほども言いましたがTwitterにはハッシュタグがあるものの、残念ながらゲームユーザーの中ではそれほど多くは使われていないんですよ。だから「PROP」でユーザーのつながりを作りたかったんです。

安藤:Twitterには140文字という制限があるので、ハッシュタグを使うぐらいならそこにも文字を打ちたいという人が多いのでしょうね。

瀬尾:ハッシュタグがユーザーさんの間できちんと使われていないことは私も歯がゆく思っていました。また、ゲームユーザー同士のつながりが薄いことをどうにかしたいということは、グラニのスタッフさんも前々から仰っていましたね。

安藤:それも「PROP」によってプレイヤー同士のつながりができれば、自然とつぶやくことが増えるかもしれませんね。

瀬尾:そうですね。今回は結びつくべき人たちが結びついたなと思います。
08
安藤:私が「PROP」に期待するのは、コミュニティがきちんとデータとして残ることですね。たとえば……わたしは今、過去の『信長の野望』シリーズをプレイしているのですが、インターネットを見ても攻略情報の掲示板などがほとんど残っていないんですよ。残っていたとしても文字化けをしていて読めない(笑)。昔の攻略本などを探す手もありますが、当時のプレイヤーたちがどうやって攻略していたのかが気になるんです。

横田:そうですね。今、自分がやろうとしていることは、Twitterでよくつぶやかれているけど情報が散らばってしまっているゲームを「PROP」のフィルタリング機能でまとめられるようにするということです。

安藤:それはありがたい。一方で“ぽこぽこ交換”も面白い機能ですよね。

横田:わたしが人見知りで、あまり他人にしゃべりかけらないので実装しました(苦笑)。同じゲームをプレイしているとわかったときに、直接は声をかけられないけどあとでTwitterでリプライを飛ばすことはできるかなと思って(笑)。

瀬尾:そうだったんですね(笑)。

安藤:ゲームの『高機動幻想ガンパレード・マーチ』はBBSを中心にコアな人気がでました。きっかけになるタイトルが一つでもあれば「PROP」の知名度は一気に上がると思いますよ。
09
瀬尾:今はゲームのコミュニティツールになっている「PROP」ですが、スポーツだったり地域だったり、さまざまなコミュニティで活用することもできそうですよね。

横田:ええ、汎用性はあるので、全然できると思います。

安藤:今回、わたし自身も横田さんのお話を聞いて、現在作っているタイトルで何かできないか相談したくなりました。その際はぜひお声がけさせてくださいね。

横田:それまでに「PROP」がなくならないように頑張りたいと思います(笑)。

安藤:期待しています! 横田さん、瀬尾さん、本日はありがとうございました。


テキスト:カワチ(Makoto Kawachi) 1981年生まれ。ライター。ビジュアルノベルに目がないと公言するが、本当は肌色が多ければなんでもいい系のビンビン♂ライター。女性声優とセクシー女優が大好き。
ツイッターアカウント→カワチ@kawapi

シシララTV オリジナル記事