M.N:では、私はイラストレーターの立場から意見すると、とりあえず描くのが好きな人が一番ですね。もう血を吐きながら描いて、描いて、ひたすら描き続けたあとに「あぁ、それでもやっぱり描いていたい」ってなったことがある人がいいです。
安藤:息をするかのように描き続ける人?
M.N:そうですね。描くのが大好きだということが、何より大切だと思います。
安藤:納得です。僕がずっと付き合ってきた優れた絵描きの人はずっと絵を描いています。お酒を飲みに行ったりしても、ずっと絵を描いているような人も少なくない。ナプキンの裏とかで、いきなり似顔絵合戦を始めたり(笑)。では最後に、社長である飯沼さんがスーパーアプリの若い人たちにどのように接していて、どんな感じで勤めてもらいたいと思っているのかを教えてください。
飯沼:先ほど「芯がある人がいい」という話がありましたが、そういった部分は絶対に必要ながら、不易流行というか、変わっていいものと変わってはいけないものがあったりするんですよね。そういった変わってはいけないもの、逆に変わらなくてはいけないものをしっかりと切り分けて考えていける人がいいです。世の中はいろいろ変わって行くんですけど、結局人間という存在自体はそんなに大きく変わっていくものではない。だからこそ、そういったところに基づいて物事を組み立てていく必要があります。
たとえばゲームデザインに関しても、何がおもしろいのか、何がおもしろくないのかは常に考えつつ、プレイをする人たちの立場になったときにどう感じるのかまでちゃんと作品に落とし込める人が強い。そうは言っても、世の中に流行り廃りはあるので、その中で今、世の人々が何を欲しているのかをちゃんと肌で感じ取れるような、感受性豊かに生活できている人と一緒に仕事をしていきたいと思います。
安藤:不易流行。示唆に富んだ言葉ですね。哲学的なんですけど「変わらないように変わっていく」というのも、じつは大事なことだと思いまし。たとえばずっと長く続いているブランドは、ただひたすらその立場を守っているように思われがちですけど、それは変わらないのではなく、変わってはいけないからこそそうしている側面があるんです。「変わらないところは変わらないで欲しい」って思われているからこそ、積極的に変わらないようにしていく。それを貫くというのは、この流動的な時代においてなかなか難しいことだと思います。
飯沼:何から何まで新しければそれでいいっていうことはないんですよね。中には、変わらないことを望まれているものはたしかにあります。
安藤:「これは絶対に意思を持って変えないんだ」ってことを明確に押し出していくということは、ある意味で「そのように変化していっている」と言えるのではないでしょうか。「これはこれでいいや」って感じでダラダラ続いているのとは違います。これは絶対に変えちゃダメなことでしょ、と議論しながら進んでいくことは、それだけである種の変化かなと思います。そして、その両方ができるかどうかはゲーム作りの一番難しいところだし、おもしろいところなのかなと感じました。
新しくないと飽きられちゃうし、新しいものも取り入れつつ、守るべきところは守る。とても難しいことだと思いますけど、ゲーム作りはそれだけ人生を賭けるに値するような仕事だと、あらためて感じました。スーパーアプリには、そういう志を持った人が集まっていると思える90分間でしたね。本日はどうもありがとうございました!
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