ラー油です! 7月に発売予定のゲームがあまりにも豪華な顔ぶれでうれしいやらキツいやら。考え抜いて買うゲームを『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアックエイジ』、『スプラトゥーン2』、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』、『Ever Oasis 精霊とタネビトの蜃気楼』、『100%パスカル先生 完璧ペイントボンバーズ』の5本まで絞りましたが、1本でも1か月以上持ちそうなタイトルばかりで明らかに時間が足りない……。本当に今年の夏のゲームラッシュは、うれしい断末魔の悲鳴が止まらない勢いですよ!
これは『SIMPLE』シリーズも早急に新作を100本ほど投入して、『SIMPLE』シリーズも『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』に並ぶ国民的ゲームであるという歴史的事実を、みんなに思い出してもらわないといけませんね!
というわけで、連載6回目にチャレンジするのはこちら。
一足お先に夏気分! 2001年に初代PSで発売された『SIMPLE1500 THE 水泳』です!
2本のアナログスティックを動かして泳ぎを競うゲーム! 価格はみんな大好き、俺も大好き1500円。開発はハイウェイスターが担当。手掛けたタイトルは『ドリホー』、『SIMPLE1500 THE 戦車』、『SIMPLE1500 THE 飛行機』などなど。
個人的にはハイウェイスター作品だと『仮面ライダー THE バイクレース』がもっとも印象的ですね。2015年の映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の先駆けとも言えるような、昭和と平成の仮面ライダー同士が入り乱れて激しいレースを繰り広げる素晴らしい内容。キャラ数とコンセプト以外に素晴らしい要素がほぼない! という些細な欠点こそありましたが、今も思い出すだけで顔が引きつる1本です。
しかし、これを越える『仮面ライダー サモンライド!』という、命を燃やすより先にソフトそのものを燃やしたくなるようなアツい作品が発売されたことにより、キャラ数が多くて『仮面ライダー旧1号』も使えた『仮面ライダー THE バイクレース』の再評価が……と、仮面ライダーのゲームの話をするといくらでも話しちゃうからここまで! ハイ終わり!
『SIMPLE1500 THE 水泳』の話に戻りましょう。本作はこのようにクロールならコントローラーのスティックを交互に内側に回す、背泳ぎなら交互に外側に回す、バタフライなら同時に内側に回す……といったように、2本のスティックを、泳いでいる人間の2本の腕に見立てて操作する意欲的なシステムになっています。「ほんとに疲れる水泳ゲーム ここに登場!」というキャッチコピーが秀逸。
今回このゲームで挑むミッションはこちら。
「ストーリーモードを制覇して世界一になれ!」
本作は2人の主人公で数々の大会を勝ち抜いて世界一を目指すストーリーモードが存在。それを両方クリアするのが今回の目標です!
ここまでの説明を読むと「シンプルながら本格的な水泳ゲームなのかな?」と思うかもしれませんが……。
ストーリーモードは水泳ゲームなのに主人公がクノイチのITUKAとハチマキを付けた格闘家みたいなKITEの2択! なかなか『SIMPLE』シリーズらしいノリになってきたぜ! っていうか、KITEは元ネタが分かりやす過ぎでは!? これ水泳ゲームだぞ! いや、日本人ではなくフランス国籍だから問題ないな!
そしてこちらが実際のゲーム画面のITUKAちゃんになります。当時の『SIMPLE1500』シリーズの基準でもややアバンギャルドなポリゴン。今見るとこれはこれで!
おいKITE! 登場シーンで腕組みしてハチマキをなびかせるポーズを取るのはやめるんだ! 俺より強いヤツに会いに行きたいという態度を隠せ!
ゲーム中はこのように画面左にキャラの状態、上に順位、やや右下に泳いでいるシーンというやや変則的な画面構成。操作は最初に説明したように、泳ぎ方に合わせてアナログスティックを動かしまくるだけ!
ただし、泳いでいると空気が足りなくなって画面左の表示がだんだん赤くなっていくため、定期的にL3ボタンかR3ボタンでの息継ぎを挟む必要があります。息継ぎをするとスピードが落ちるので、出来るだけギリギリで行うのがコツ。息継ぎしないままでいると溺れて失格!
この溺れ方が「突然動きが止まって水死体のように浮かぶ」というもので、じつにシュール……。さっきまで命だったものが辺り一面に浮かんでる! 非常にシンプルかつ水の恐ろしさが伝わってくる秀逸な演出となっております。息継ぎしないでいると数秒でこうなるので怖い。
ストーリーモードでは様々なライバルが登場。こちらは全ステージで賑やかしのザコとして登場するホプキンス兄妹の妹。
実際のゲーム画面だとなかなか個性的な造形。手足に針金が入っているような動きをするぞ。緊張してるのかな!?
上半身にジェットエンジンでも仕込んでるような逆三角形体形だ!
ホプキンス妹やセイン氏はまだマトモな方で、ステージが進むとツタンさんという、説明されなくてもエジプト代表であることが心で理解できる選手も登場。
この服を着たままバリバリ泳ぐのでめちゃくちゃ実力派なんだと思う……!
こちらのトーナちゃんはシュノーケルや浮き輪や足ヒレを付けて登場! ルール違反ってレベルじゃねぇぞ!? 世界大会なんですよ!
だが登場キャラの中ではこの太郎&不三子さんがぶっちぎりで斜め上。トーナちゃんなど我々の中では一番の小物! なんと彼女は背中に赤ん坊を背負って泳ぐ人妻キャラ! 何故か太郎が自信満々に語りかけてくるのも謎。背中に子供を背負って泳ぐって虐待じゃないのそれ!?
水泳中のポリゴンは……PS2レベルくらいだったら胸元がかなりエロかったと思います!
登場キャラは水泳ゲームとは思えない変な連中ばかりだし、泳ぐ場所もロサンゼルスの地下水路やら、よく分からない道場をぶち抜いて作られた謎のプールやら。一体なんの世界一を決める大会なのか分からなくなってくる! 世界一の変態スイマーを決める大会なのか!?
これはラスボスで絶対ロボットが登場する流れだろう! と思ったら謎の老師でちょっと残念。
でも力強い赤フンを締めて指一本で逆立ちしながら登場するのはさすが老師!
そんなぶっ飛んだ内容ですが、本当にスティックをグルグル回し続けるだけなのでゲームは非常に単調。息継ぎのタイミングも一定なのですぐに連勝出来るようになれます。スティックを回しつつ、ボタンも押さないといけない難しい操作にも変更可能ですが、ボタンの判定がゆるいのか適当にやってもスピードがめっちゃ出ます。登場キャラやコースも見た目が違うだけで、性能差やギミックがあるわけでもなし……。
ゲームそのものが水死体になっていると言われたら、反論し辛い作品です。しかしこのアイデア一点突破の作りや、珍妙な登場キャラクターのセンス、激しくスティックを動かすから、本当の水泳をやったように疲れる! ほんとに疲れる水泳ゲーム! というコンセプトは実に面白い。これはある意味VRですよ! 『THE 水泳』は早すぎたVRだった! 今こそ再評価するべきだ!
それ、言い過ぎ。
老師との戦いを終えてあっけなくチャレンジ完了! 完全な一発ネタですが、夏に備えてほんとに疲れるこのゲームをプレイしてみるのも一興です。でもほんとに水死体にならないように気をつけてくれよな!
というわけで今回のコラムは以上! 次回はバリバリのアクションゲームになる予定です。乞うご期待!