どうも、酒缶です! ゲームコレクターの酒缶です! 「ゲームコレクター・酒缶が積みゲー討伐するってよ(略称:ツミとバツ)」、略して「ゲームコレクター・酒缶のツミとバツコラム」の始まりです。
稀勢の里が横綱昇進を決めましたね。日本出身力士の横綱昇進は、第66代横綱の若乃花以来19年ぶりで、三月場所になると日本出身の横綱が相撲を取るのは第65代横綱の貴乃花が引退以来14年ぶりということになります。いずれにしても、21世紀初の日本出身力士の横綱昇進ということで、これはかなりめでたいことなのです。横綱は力士の番付では最高位を占め、とても威厳があるモノなんですから。
稀勢の里は、初土俵から十両昇進および、幕内昇進は、貴乃花に次ぐ年少2番目の記録となっていて、若くして新入幕をはたしたモノの、新入幕から大関昇進までのペースはかなり遅い部類に入るようで、大関在位期間も約5年に渡り、横綱昇進までの苦労が偲ばれます。
横綱になるとメディアで扱われることも多くなり、今後は稀勢の里を注目する機会が確実に増えるはずですが、そもそも今回の昇進に対して時期尚早としているメディアがありましたので、稀勢の里の立場を体験した上で明確な判断をすることにしました。ほら、ファミコンにも横綱を目指す有名な相撲ゲームがあったでしょ。
皆さんご存知の『千代の富士の大銀杏』ですよ(編集注:ごめんなさい酒缶さん、知らなかったッス……)。
千代の富士といえば第58代横綱。幕内優勝記録31回、連勝記録53連勝と、いずれも輝かしき記録を持っているので、ご存知の方も多いことでしょう。残念ながら昨年お亡くなりになってしまっていますが、その半年後、最初に横綱になったのが稀勢の里なわけですから、何か縁があるに違いありません。
ゲームの中に出てくる「千代の富士」の表記が「千代ノ富士」なのはちょっと気になりますが、若干フィクションが入っているということでしょうか? ゲームに出てくる力士の中で実名で登場するのは「千代の富士」だけなので、フィクションといえばフィクションなのですが、タイトルロゴだけは正しい表記をしているだけにごにょごにょ。
というか、タイトル画面の下の方に「DESIGNED BY ARC」と書いてあるのですが、アークさんはこんなころから露出度の高い格闘ゲームを出していたんですか! あぁ、そういえばコーエーテクモさんも『デッド・オア・アライブ』よりも前に露出度の高い格闘ゲームを出していましたね……。
このゲームの一番の目的は横綱になること。「しょうしん」モードには「かんたんまくしたもーど」と「むずい?せきとりもーど」の2つの難易度が用意されているのですが、この「むずい?せきとりもーど」がある界隈では難しいことで有名なので、きっと稀勢の里が新入幕から横綱になるまでの苦労を一番味わえるんじゃないかと思うんですよ。
これでフィクションの世界に横綱を目指す素敵な力士が誕生しました。
実際の相撲では序ノ口から始まり、序二段、三段目、幕下、十両と段階を踏んで昇格していき、やっとのことで幕内力士になれるのですが、このゲームではその部分をショートカットしています。それゆえに、まったくの相撲の初心者がいきなり相撲を取って大丈夫かというと、実のところ全然大丈夫じゃありません。なんせ、「むずい?せきとりもーど」ですから。
さっそく、よくわからないまま取り組みが始まります。「はっけよーい、のこった」のボイスが思った以上に素敵なのですが、魅了されているわけにはいきません。適当に操作していると、がっぷりよっつになるも、画面下方にある情報が何なのかよくわからないまま、あっけなく倒されてしまいました。
画面左側がプレイヤー力士の情報で、右側が対戦相手の力士の情報。「体力」がなくなると相手から技をかけられやすくなり、「気力」が多いと相手に技をかけやすくなり、手のマークは相手のマワシを取ると赤く表示されるので、これさえしっかりと覚えていれば、あとは何とかなりますかね。
十字ボタン上左右のいずれかと一緒にAボタンかBボタン、その組み合わせによって技を仕掛けられるのですが、対戦相手との状況もあるので押せば必ず技が掛かるわけではありません。また、十字ボタンの下を長押しすると気力ゲージを溜める事ができるのですが、相手に技を仕掛けられると気力ゲージがガクンと減ってしまいますし、しっかり溜めようと思ってもMAXを超えると0に戻るので、止めるタイミングも難しいのです。
画面の下に注目しすぎると、いつの間にかがっぷりよっつになっているし、うっかりすると投げられてしまっていたりもします。COMは巧みに気力ゲージを常に高いところでキープしているので、油断しているとすぐにやられてしまうんですね。
また、手のマークに注目するもなかなか赤くならず、赤くなったとしても技がなかなか決まらないんですよ。
ひとまず、下手な格闘プレイヤーならではのガチャプレーを延々と。結果、0勝15敗という名誉をいただけました。イマドキのゲームであれば、何らかの実績を獲得できたに違いありません。しかし、このゲームは1990年のゲーム。勝たないと力士を育てるために必要なポイントを獲得できないのです。
ちなみに場所が終わると、1回だけ稽古をつける事ができます。
稽古とは、簡単に言ってしまうとミニゲームのことで、ミニゲームの成績に応じて、対応しているパラメータを上昇させることができます。
「ちよのふじとけいこ」
横綱・千代の富士に稽古をつけてもらい、千代の富士を倒せば残り時間に応じて体力ゲージの最大値が増える。
「10にんぬき」
制限時間内に次々と現れる力士を倒していき、倒した力士の数に応じて「あしこし」のパラメータが上がる。
「ちゃんこ」
十字ボタンの上を連打してちゃんこを食べていき、制限時間内に食べた量に応じて「たいじゅう」のパラメータが増える。
「てっぽうおし」
AボタンとBボタンを交互に連打して、柱に突っ張りをしていき、柱を突っ張った数に応じて「わんりょく」のパラメータが増える。
「たわらとり」
上から落ちてくるモノの中から俵だけをキャッチしていき、取った俵の数に応じて「すぴーど」のパラメータが増える。
といった感じで、いくつか突っ込みどころ満載の稽古がありますけど、この稽古では最大で10ポイントも増やすことができるので、バカになりません。そこで、どの稽古が一番効率よくポイントを獲得できるかというと、十字ボタンの上をひたすら連打すればいい「ちゃんこ」がおすすめです。力士にとって体重は重要ですから、食べるだけで強くなるなんて理想的です。「たわらとり」はほぼ無理ゲーなので避けておいた方がいいです。ちなみに「しない」というのは竹刀でシバかれる稽古ではなく、単純に「何もしない」ということです。
場所では勝ち星1つ当たり、4ポイントを獲得する事ができ、自由に振り分ける事が可能。稽古でもらったポイントはそのまま加算されています。つまり、先ほどの場所では0勝だったので獲得ポイントは「0」ってことですね。
稽古という名のミニゲームをプレイすれば若干ながら強くなることはできますが、やはりこのゲームでは勝ち星を上げることこそが最大の正義。どんな手段を使ってでも勝てる方法を考えなくてはなりません。そこで、どんな相手が来ても大丈夫になるような技を編み出すことにしました。
なんといっても、ボクはわざわざのデパートですから。どんなシチュエーションであっても、わざわざ1つの状態に持って行き、かならずその技を掛けられるようにするのです。さぁ、ボクらも最強のグルコサミンとコンドロイチンを見つけましょう。
最初に考えたのが、相手力士にマワシを取られないこと。プレイヤーがなかなか気力ゲージが溜まった状態をキープできないのに対して、COMの力士は常に気力ゲージがキープされているので、うっかりマワシを取られるとそのまま投げられてしまう公算が高いのです。
そこで、なるべくマワシを取られないように、つっぱりを多用していきましょう。名付けて「つっぱり大相撲戦法」。つっぱり、つっぱり、オレだけのつっぱり大相撲ぉぉぉ!
しかし、ゲージを溜めながらつっぱりを繰り出す成功率はあまり高くないため、ややもすれば普通にガチャプレイをしているよりも効率が悪く、全然勝率が上がりません。
続いて思いついたのが、相手力士に攻め込ませて、土俵際ではたきこみや投げを決めて土俵外に出してしまおうという作戦。その名も「土俵際の魔術師戦法」。先場所の千秋楽の結びの一番ですよ。稀勢の里だって白鳳を土俵際で投げたじゃないですか。
これもいざやってみると、たまにうまくいくことがあるモノの、相手力士がぶちかましやつっぱりを決めてくると、一気に土俵外に出されてしまうんですよね。というか、むしろ失敗することが多く、やはり戦法としてはイマイチでした。
相手を土俵際に追い詰めたり、自分を土俵際に下げてみたりと、わざわざ手の込んだ仕掛けを作ろうとするも、いまいち効率が悪く、負け星ばかりが続いていきます。きっと稀勢の里もこうやって幕内で苦労したんだろうな……。強い力士を負かすのは大変ですもんね。こんなところでいちいち名前を出されても、稀勢の里自身が大迷惑だと思いますけど。
さて、順調に負けが嵩んでおりますが、このゲームの性質上、幕下に落ちることはなく、負け越し続きでもなぜか格付けが上がることがあり、前頭十四枚目から前頭十二枚目を行ったり来たり。とはいえこのままではいられないということで、試行錯誤の末に発想を変えることにしました。気力ゲージを上げることに専念しよう、と。
すなわち、自分からはあえて攻めていかず、十字ボタンの下を押して気力ゲージをある程度の高さにしたら、後は相手力士が組んでくるのを待つ戦法。ただ待っているだけだと、組まれた瞬間に投げられる可能性があるため、プレイヤー力士が画面の左側にいるときは十字ボタンの左とBボタンを連打して待ちます。
十字ボタンの左とBボタンは、離れているときははたきこみ、組んでいるときは投げの体制になります。相手力士が突っ込んできても逆方向にいなせるので便利です。
この戦法のいいところは、技が決まらなくてもそのまま取り組みが続き、相手力士にマワシを取られる可能性もそこそこ抑えられるところです。相手力士に気持ちよく土をつけていけます。
まぁ、これが相撲かといわれるとちょっと困らなくもないのですが、とりあえず「マタドール殺法」とでも名付けておきましょう。
これで一気に勝ち星を稼ぎ、49場所目でついに大関へと昇進。
50場所目で9勝6敗だった時には、なぜか関脇に逆戻りするハプニングがあったモノの、55場所目には再び大関に復帰し、61場所目では14勝1敗で千代の富士と夢の優勝決定戦に!
負けはしたモノの、二場所連続で14勝以上の成績なら横綱へ昇進できるため、気合を入れるために千代の富士に稽古をつけてもらいます。
しかし、62場所目はちょっと空回りして12勝3敗。気を取り直して戦った63場所目では見事15勝を上げ、再び千代の富士との優勝決定戦に!
全勝同士の戦い……しかし、やっぱりかなわず。でも、わかるんですよ。ゲームですから。千代の富士のパラメータは完璧なんですよ。
ここで再び14勝以上を達成できたので、次こそは連続で14勝以上を上げようと気合を入れようとしたところ、なぜか唐突な展開に。
えっ? 取扱説明書には「大関から横綱へは2場所連続14勝以上だ」とあるのですが? 優勝もしていないんですよ?? イマドキの横綱審議委員だったら承諾しそうにない事態ですよ??
どうやら内部的には連続ではなくても大関として14勝以上を2回達成したら横綱になるような処理になっているようで、無事横綱になれました。通算成績が456勝489敗という微妙な戦績でも無事横綱になれたんですから、稀勢の里の成績は十分ですよめね。ボクのシミュレーションでは63場所で横綱になりましたけど、稀勢の里は通算89場所、幕内内では73場所掛かっているわけですから、それはもう大変な苦労があったに違いありません。
どうやら内部的には連続ではなくても大関として14勝以上を2回達成したら横綱になるような処理になっているようで、無事横綱になれました。通算成績が456勝489敗という微妙な戦績でも無事横綱になれたんですから、稀勢の里の成績は十分ですよめね。ボクのシミュレーションでは63場所で横綱になりましたけど、稀勢の里は通算89場所、幕内内では73場所掛かっているわけですから、それはもう大変な苦労があったに違いありません。
そんなわけで、『千代の富士の大銀杏』をプレイした気になりたい方は、以下の3点を記憶しておきましょう。
1.優勝しなくても横綱になれる
2.連射が得意なら稽古は「ちゃんこ」一択
3.気力ゲージを溜めたら十字ボタン左+Bボタン(プレイヤーが左の時)
ちなみに苦労をしないで「かんたんまくしたもーど」で横綱になると、大横綱に「関取モードで横綱にならないと真の横綱とは言えんぞ!」と怒られてしまうので、やっぱり苦労は大事です。
テキスト:酒缶(Sakekan) 15,000本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲーム業界内にこっそり生息中。関わったタイトルは『ダンジョンRPG ピクダン2』、『謎解きメイズからの脱出』など。
ツイッターアカウント→酒缶(ゲームコレクター) @sakekangame