【降臨!族車ゴッド】大ヒットヤンキーレースゲーム最後の花道! これが神に至る道だ!【『SIMPLE』シリーズに魂を売った男・ラー油の挑戦 vol.8】
ラー油です! 7月に発売される新作ゲームで欲しい物が多すぎてヤバいと思っていたら、8月の発売タイトルもヤバくなってきていて恐怖ッ! 『大逆転裁判2』、『深夜廻』、『探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK』、『よるのないくに2 』、『The Lost Child』が欲しい。全部欲しい! 時間が足りないぜ!
こう見ると8月はアドベンチャーゲーム系が熱いですね。『SIMPLE』シリーズにも『THE 推理』や『THE 鑑識官』、『THE 爆弾処理班』に『THE 裁判員』、『THE密室からの脱出』などなど、良質なオリジナルのアドベンチャーゲームが多数存在するので、この辺りの新作も早急にお願いしたいですね! 明日出せ!
第5回目のコラムはコチラ→『THE 炎の格闘番長』
第6回目のコラムはコチラ→『THE 水泳』
第7回目のコラムはコチラ→『THE スプラッターアクション』
さて、今回は挑戦の前に、あるシリーズを紹介するとしましょう。
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その名も「族車シリーズ」! 2002年にPS2で発売された『SIMPLE2000 アルティメット 最速!族車キング ~仏恥義理伝説~』から始まったシリーズで、開発はタムソフト。内容は暴走族が使うような無駄に派手パーツで愛車をゴテゴテにカスタマイズし、ライバルたちをぶっちぎっていくヤンキーレースゲームです!

ヤンキー向け自動車・バイクの雑誌である『チャンプロード』の監修を受けて発売。その手の方々を中心にロングランヒットして11万本以上を出荷!

好評を受けて、翌年の2003年4月に4800円で続編の『超最速!族車キングBU ~仏恥義理伝説2~』。同じ年に車ではなく単車を転がす『SIMPLE2000 狂走!単車キング 喝斗美!罵離罵離伝説』。2005年には車両と新コースを追加した廉価版である『SIMPLE2000 アルティメット 超最速!族車キングBUのBU ~仏恥義理伝説2改~』が登場という勢い!

2005年の年末にはまさかのニンテンドーDSで『SIMPLE DSシリーズVol.7 THE 族車キッズ』が発売……される予定でしたがあえなく発売中止に。やりたかったなあこれ。

一発ネタ的な題材とバカバカしいノリを形にして人気となったこの作品たちは、『SIMPLE』シリーズを語る上では絶対に外せないシリーズの一つ。レースゲームとしてはやや粗さの目立つ作品も多かったのですが、頭の悪いカスタマイズでどんどん偏差値の低い車を作っていくのが実に愉快。ゲーム内に溢れるヤンキーでオラオラなノリも笑える。
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助手席に乗せるキャラを選べるのも大きな特徴でした。作品毎に違う顔ぶれで、いかにもチンピラっぽい後輩や、怖いパイセン、レディース、なんとD3パブリッシャーのアイドルである双葉理保まで! 選んだキャラはレース中に応援してくれたり、ナビゲートしてくれたり、クラッシュすると悲鳴を上げたりと、実に賑やか。

美女を助手席に乗せてスポーツカーで爆走するセガの名作レースゲーム『アウトラン』を髣髴とさせる仕様。『アウトラン』の歴史を語る際には、後継作品として是非この『族車シリーズ』の名前も載せていただきたいッ!

……あぶりだしとかで。
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今回挑戦するのはそんな『族車シリーズ』の最終作である『SIMPLE2000アルティメット 降臨!族車ゴッド ~仏恥義理 愛羅武勇~』! タイトル画面から「STARTボタンを押せやコラァ!」とテンション高いぞコラァ!

2006年に発売した本作で、この「サブタイトルをどう読めば良いのか少し悩むシリーズ」は一旦終了となりました。

『降臨!族車ゴッド』は車両数とカスタマイズパーツ数が共にシリーズ最多で、ゲームバランスも良好なのですが、『SIMPLE2000』後期の作品かつ『族車シリーズ』も出尽くした後だったため、ほとんど話題にならずに埋もれてしまった不遇の作品。今回は、この作品に光を当てたいと思います。

チャレンジ内容はこれだ!

ストーリーモードをクリアしてゴッドになれ!
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本作にはシリーズ初搭載となるストーリーモードが存在。それでエンディングを目指すのが今回の挑戦となります。他にもプレイヤー同士の対戦モード、タイムアタックや特殊ルールでのCPU戦と盛り沢山!
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ロード画面中には「狼泥陰愚中(ローディング)じゃコラァ!」と表示されるこのノリ! 実に族車ッ!
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ゲーム自体はレースでお金を稼いで新しい車やパーツを買い、愛車をどんどん強化していく流れです。車は30種類以上!「貴婦人Z」、「世留死雄」、「美羅」、「蘇阿羅」など、口に出して読んでみると聞き覚えのある名前の車がズラリ。

そして異彩を放つ「破闘華」である。カラーリングは細かく変更出来るので、ぜひとも白と黒で塗り分けたいところ。
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車はマフラーやスポイラ、ウィング、ホーンなどにゴテゴテしたナンバープレートやボディに貼るステッカーも細かく選べます。エンジンやギヤと違い、デコパーツは性能に関係ないため自分流でチョイスしましょう。過去のシリーズのパーツを引き継いでいるため、その数は2000種類以上! まあ、ほとんどステッカーなんですけども!
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さてステッカーは何にするか……おっ! このUFOと宇宙人のデザインいいな!
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『SIMPLE』シリーズとD3パブリッシャーのアイドル、双葉理保のステッカーもある! これは貼るだけ状態異常が全部防げそうな素晴らしい絵柄ですよ。
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というわけでトゲトゲギザギザで、車体には宇宙人と双葉理保を掲げた族車! 「死死羅羅(シシララ)」の完成だぜ! チャレンジにふさわしい強そうなのが出来ました。これはもう、実質クリアみたいなものですよ! ストーリーモードいくぞコラァ!
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ストーリーモードは全4章で各5話構成。最初は「仏恥義理伝説・復讐編」からスタート。主人公は浅草を地元とする暴走族「浅草露苦」の総長である浅川修一。副長であるケンジが何者かに襲撃を受けたため、仇を探すことに! なんというか『熱血硬派くにおくん』を思わせる展開。
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最初の相手は主人公の速さを聞きつけて勝負を挑んできた「関東爆走連合」の黒川。1人目なので初期状態でも十分勝てる相手!
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試合はタイマンでの3周勝負。レース開始時に3回使えて、以降は走っていると溜まっていく「仏恥義理ブースト」が勝利のカギです。ボタンを押すと使用。
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マフラーから青い炎を噴射して超加速だ! これが族車ゴッドのゴッドな新システム。族車ブルーってトコか……!
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このゲーム、ちょっとでもぶつかると車のパーツが取れてベコベコになっていきます。性能に影響は無いものの、とにかく取れやすくてボンネットなんてガバガバに。パッケージ見ると「スクラップになっても走るんじゃコラ!」とか書いてあるのが色々スゴい。完全に壊れたら徒歩で走れるシステムがあったら更に良かった。

壁に大きくぶつかるとポーン! と吹っ飛ぶ挙動なので、これを利用して敵車をぶっ飛ばすと大きくスピンして時間を稼げます。
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ポーズ画面では地図や振動のON/OFFを設定できますが、これも地図だったら「要らんわ」「出とけや!」の2択。振動だったら「止まれや!」「振れろや!」の2択だったりとじつに細かい。細部にまで疾走するヤンキー魂が込められている!
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リプレイ画面では「死死羅羅の雄姿!」とか表示されているのがまた良い。コースも東京、首都高、埠頭、東北、北海道などなかなかバラエティに富んでいます。直角カーブの連発なコースに、狭いジャンプ台の上を走る箇所があるコースなど。個性付けもしっかりしていて、よく見ると双葉理保やチャンプロードの看板が設置されているところもあります。
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浅草コースにはあまりにも有名な雷門が登場。道を塞いでいて邪魔なのでぶっ飛ばして先に進もう! 損害賠償の請求はシシララTVまでよろしく!
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最初の黒川を倒して情報を追っていくと、関西に九州にとなんだか大変な旅に。主人公のニセモノが暴れ回っていたせいでケンジがとばっちりを受けた事が判明。やはり黄色いマフラーだったのでしょうか。
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更に追い掛けていくと主人公の知り合いで、「極楽堂」という族のヘッドだった極楽という男に辿り着く。ここで一連の事件は、極楽が主人公に嫉妬して起こしたものだったことが判明。レース勝負で勝ったら極楽の精神が壊れて病院行きになって一件落着だ! ……一見落着でいいのかな!?
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続く2章は「仏恥義理伝説・純愛編」。いきなり主人公のカノジョが登場! 病弱で入院を繰り返すお嬢様というベタベタな設定を引っ提げた鈴子。彼女の「北海道のラベンダー畑が見たい」という願いをかなえるために、主人公が病院から連れ出していざ北海道へ!
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父親の差し向けたK察の追手や、ナンパしてくるヤンキーを振り切ってラベンダー畑に辿り着くと父親本人が登場。
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父親に認めてもらうためにラベンダー畑でのラストレースが始まるシナリオです。北海道コースの背景はちゃんとラベンダー畑。
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父親もK察の追手も、思いっきり族車で勝負挑んでくるのがちょっと気になるが……。それ、娘を迎えに来るのに使う車じゃないですよお父さん!
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そして父親に勝って認めて貰うも病気だった鈴子は既に……。鈴子が自分の体のことを悟って主人公に残した手紙とともに終わる切ないエンド。
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3章の「仏恥義理伝説・食倒編」は落ち込んでいた主人公が幼馴染の茜に連れられて、全国食い倒れの旅に出るストーリー。主人公が茜やこれまで出会ったライバルに励まされて奮起する展開。

と、ここまでは、突っ込み所はありつつもコテコテで普通なシナリオなんですけど。
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最終章である「仏恥義理伝説・降臨編」で登場するのはウイルスと名乗る謎の外人! 何者かに追われている様子で、主人公がそれに付き合っていると……。
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主人公の仲間やこれまで戦ったライバルたちが、謎の催眠術で操られて襲い掛かってくる!
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病院行きになっていた極楽も復活して登場! 再生怪人だ! 「星間条約違反行為」とか言っているがこの展開はまさか……!? そしてレースで極楽を倒すと催眠が解けて健康体になっている宇宙人の気配り。
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再生怪人を倒していくと洗脳されたプロのレーサーが登場し、ウイルスからこれは日本を守るための戦いだと告げられる。この走りは宇宙人同士の代理戦争であり、そして暴走族の族長がプロのレーサーと勝負!

熱いなこれ! 燃えて来たーーーー!
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最後に待ち受けるのは……死んだはずの鈴子! 主人公を動揺させるために復活させられたのだ!
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絶対に許さねぇぞ宇宙人!
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最後の戦いを終えると催眠が解けて健康体になった鈴子とともに円盤を見送るエンディングへ。そして……。
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見知らぬ外国人に付き合っているうちに、
なぜか死んだ筈の恋人が突然復活し、
喜びと困惑を隠しきれない彼だったが、
彼自身、その走りがいつのまにか
人類を救った事は知らないでいた。

いまや、彼の走りは宇宙にまで
知れ渡っているのだった。
そしてその事を聞きつけた
“奴ら”が地球を目指しつつあるのを
…彼は知らない。
……なんだよこの投げやりな終わり方!? 最初に言った通り今のところこれが最終作です! もし続きが出ていたら『族車ハルマゲドン』とかになっていたのかな……。そもそもこのゲーム、対戦相手がK察とかレーサーとかパパとか族車に関係ない連中ばっかじゃねーか! 族車成分が不足してるぞコラァ!
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というわけであっさりクリア! このゲーム、バランスはゆるめで、初期の車のままでもエンジンなどをしっかり強化すれば勝てるようになってます。最高速重視のカスタマイズでしっかり距離を稼ぐのがコツ。

ストーリーモードを緩く楽しんでも良いし、全10コースでリバースコースもあるので、物足りなければタイムアタックしても良し。自分なりの改造車両を目指すも良し。さすがに10年前の低価格レースゲームなので今の目だと気になる所はあるものの、それでもバランスは遊びやすいし、随所に込められたバカ演出やカスタマイズ要素は今でも面白い内容。

不良が主役のゲームは昔から多いもの、族車をテーマに1本のレースゲームとしてしっかり作り上げた作品は、2017年の視点でも貴重。個人的に今こそ復活して貰いたい『SIMPLE』シリーズの1本です。オンライン対戦に対応して新作を今出したら絶対面白いって! 今度こそ宇宙ヤンキーとの戦いを見せてくれ!

今回のコラムは以上! 次回も全開バリバリで行くから夜露死苦ゥ!

テキスト:ラー油(daikai6) 死力を尽くして『SIMPLE』シリーズを応援するブログを運営し実況もするゲームブロガー。『SIMPLE』シリーズだけでなく低価格でイカしたゲーム全般を追跡中。ニンテンドースイッチで『SIMPLE』シリーズが出るのか気になる今日この頃。

ラー油 運営ブログ 『絶対SIMPLE主義』
ツイッターアカウント→ラー油@daikai6

第1回目のコラムはコチラ→『THE スナイパー』
第2回目のコラムはコチラ→『THE 逃亡プリズナー』
第3回目のコラムはコチラ→『ラブ★ピンポン』
第4回目のコラムはコチラ→『THE ヘリコプター』
第5回目のコラムはコチラ→『THE 炎の格闘番長』
第6回目のコラムはコチラ→『THE 水泳』
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