都会の喧騒から少し離れたところにひっそりと佇む"ギャルゲーBAR☆カワチ"。ここは、日々繰り広げられるコンクリートジャングルでの生存戦争に負けそうになっているメンズたちのピュアハートを、ゲーム好きのマスターが「ギャルゲートーク」で癒してくれるという、シシララTVオススメのゲームBARなのだ……。
そんな体裁でお送りするギャルゲーコラム。気になる第9回目のお客様の悩みと、その痛みを癒してくれるゲームとは?
■ヴァーチャルリアリティを先取り! もしも女子高生と……
──こ、こ、こんばんは。
カワチ:いらっしゃい。
──ビ、ビールください。
カワチ:はいよ。
──どうも。(ガチガチガチ……)
カワチ:お、おいおい。あんた、すごい震えているじゃないか。大丈夫か? アルコール中毒じゃないよね?
──ち、ち、ち、違いますよ。じつはプライベートで大変なことが起きちゃって動揺しているんです……。
カワチ:何がどうしたんだい? よければ話してみてくれ。
──じつは私、女子高で教師をしているのですが……お、教え子に告白されてしまったんです!
カワチ:えぇーーっ!? これは思ってもみなかったリア充展開!! ど、どうするんだ? まさか……けしからんぞっ!!
──いや、そりゃ断りますよ……。女子高生と付き合うなんてできるわけないじゃないですか……。
カワチ:お、おほん……まぁ、うん、なるほどな。そんなアンタにはこれをオススメしないとな……。
──これはゲーム……『ルームメイト・麻美 -おくさまは女子高生-』? 私をからかっているんですか!?
カワチ:まぁ聞きなよ。ギャルゲーから人生を学ぶことだってあるんだぜ。そうやって救われたお客さんだって、これまでたくさんいるんだ(ニヤリ)。
──そうはいってもなぁ……。いったいどんなゲームなんですかこれは。
カワチ:よくぞ聞いてくれました! 『ルームメイト・麻美 -おくさまは女子高生-』は『ROOMMATE(ルームメイト)』シリーズのひとつだ。『ROOMMATE(ルームメイト)』はデータム・ポリスターから1997年に発売されていた人気シリーズで、俗にいう「井上涼子三部作」のことを指すことが多いんだ。
──え? 井上涼子? だって、このゲームのタイトルには麻美って……。
カワチ:つまり、今回紹介する『ルームメイト・麻美 -おくさまは女子高生-』はその派生作品って位置づけなのさ。シリーズとしては『ROOMMATE~井上涼子~』が元祖。ちなみに『井上涼子』はオリジナル作品だが、『おくさまは女子高生-』にはちゃんと原作があったりするのも、大きな相違点といえるな。
──そうなんですか?
カワチ:あらら……やっぱり原作も知らないのか。こばやしひよこ先生によるマンガがヤングジャンプで連載されて話題になり、マッドハウスからアニメ化もされていたんだがなぁ。ま、放映されていたのは2005年だから今から10年以上前になるけど。
──アニメ化もされるような人気作なんですね。『おくさまは女子高生』……記憶にないなぁ。
カワチ:深夜アニメだったからねぇ。でも、監督はあの『ユーリ!!! on ICE』の演出チーフを手掛けている宍戸淳さんだったり、ヒロインの声を『Fate/stay night』のセイバー役で知られる川澄綾子さんが演じていたりして、とにかく気合いが入っていたんだぜ……。そういえば、あの時期のTVアニメって川澄綾子さんが主役のアニメがすごく多かったよね? ね!?
──そういわれても……僕はぶっちゃけ知らないですけど。
カワチ:こばやしひよこ先生を知らないとはな……ちょいエロを描かせたら神! な、あのこばやし先生をなぁ……。これも時代か? 俺は当時、ヤンジャンを読みながらドキドキしたものなんだが。
──そんなにガッカリされても(苦笑)。
カワチ:で、そんな『おくさまは女子高生』が『ROOMMATE』シリーズとしてゲーム化されたわけだ。でも、まずは『ROOMMATE』シリーズについて説明したほうがいいよね?
──お願いします。
カワチ:『ROOMMATE』シリーズは一人暮らしをしている主人公のところにヒロインが居候することになり、ふたりで同居生活を送るというゲームなんだ。斬新だったのはセガサターン内臓の時計とイベントを連動させることで、リアルタイムでイベントが進行するところだな。
──へぇ! なんだか斬新なシステムですね。
カワチ:のちに、同じようなコンセプトで売り出された『ラブプラス』が大ブームになったから、『ROOMMATE』シリーズももっと売れて欲しかったんだけどね。
──確かに『ラブプラス』は僕でも知ってます。
カワチ:『ラブプラス』はニンテンドーDSで発売されたことが大きかったんだろうなぁ。『ROOMMATE』シリーズはセガサターンだったし、コアゲーマー向けだったといえる。でも、潜在的なファンというか、好きだった人は多いと思うんだけど。
──なるほど。
カワチ:ただ『ルームメイト・麻美 -おくさまは女子高生-』は『ROOMMATE~井上涼子~』と違って、リアルタイムと連動したイベントはあまり搭載されていないんだけどね。
──な、なるほど。
カワチ:ああ。だから『おくさまは女子高生』のファンじゃなければ『ROOMMATE~井上涼子~』をプレイするのもアリだと思う。念のためにいっておくと、『おくさまは女子高生』にもリアルタイムイベントはある。あるんだけど…・…まぁ、おまけ程度だな。
──だったら私も『ROOMMATE~井上涼子~』をプレイしたいのですが……。
カワチ:まぁ、PS移植版の『ルームメイト~井上涼子~』は、ゲームアーカイブスで手軽にプレイできるしな……。って、そんなことを言わずにぜひ『おくさまは女子高生』をプレイしてほしい。お願い! お願いだから!!
──あぁ、もう抱きつかないでくださいよ鬱陶しい! なぜ、そこまで『おくさまは女子高生』にこだわるんです?
カワチ:『おくさまは女子高生』は教え子であり婚約者でもある女の子・麻美との同居生活が描かれていくんだ。そのシチュエーションがたまらないからだよ!! 昼は授業していた女の子と夜は一緒に寝るんだぞ? 想像しただけで興奮するでしょうがっ!?
──いや、それはフィクションだからですよ。実際に教え子から告白されても、普通は躊躇しますって。
カワチ:そんなことはないだろう? 『ママレード・ボーイ』でも教師と教え子が付き合ってたよ?
──それもフィクションでしょ!!
カワチ:あぁ、そうだったっけ? すまん。でもな実際に『おくさまは女子高生』は素晴らしい作品なんだよ。
──どこがですか?
カワチ:まずはやっぱりちょいエロシーンだな。なにせひとつ屋根の下で生活しているわけだから、シャワーでバッタリ鉢合わせしたり、一緒の布団で寝ることになったりと、とにかくドキドキのシーンが多いんだよ。しかも、麻美は女子高生とは思えないほど成熟したボディをしているんだよ。あのボディが男を狂わせる……俺を獣にしてしまうんだよ……。
──やっぱりそこですか!
カワチ:ただ、簡単にエロいシーンが見られると思ってもらっちゃ困るぜ。なんといっても本作には「鼻血ブーシステム」が搭載されているからな!
──は? 鼻血ブーシステム!?
カワチ:本作では、きわどい選択肢ばかりを選ぶと主人公が興奮し、鼻血を出して倒れてしまうんだ。今どきどんだけピュアボーイなんだよって話だよ。そうなると当然エロいCGも見れなくなってしまう。とはいえ、ある程度は積極的な選択肢を選ばなければ、そんな桃色イベント自体が発生しないというこのジレンマたるや……。男と女の駆け引きが重要な、ひたすら熱いシステムってわけさね!
──ネーミングセンスはともかく、他にはないおもしろそうなシステムですね(笑)。
■誰もが結婚したくなる!? 女子高生おくさま・麻美の魅力!
カワチ:あとはなんといっても麻美という女性そのものの魅力だ! 彼女はとても尽くすタイプのキャラクターでね。主人公のことも「ダンナ様」と呼ぶ、なんとも奥ゆかしい女の子なのさ。
──「ダンナ様」かぁ……それはイマドキ珍しいといえるかもしれませんね。……ってイマドキのゲームじゃないか(笑)。
カワチ:そうだな(笑)。ちなみにアニメ版では川澄綾子さんが演じていた麻美だが、ゲーム版では鈴木麗子さんが演じている。第1回で取り上げた『センチメンタルグラフティ』の遠藤晶役を演じていた方だな。
──へぇ~。
カワチ:辞めてよそのうっすーいリアクション。正直、自分が本作を手に取ったのも鈴木麗子さんが出演していたからという部分が大きい……それほどの一大事なんだぜ? 俺は『センチメンタルグラフティ』の気狂いファンだからな。そんな俺だが、プレイしていくうちにずんずんと麻美自身の魅力にハマッていったわけだよ。美味しい弁当を食べさせたいからといって毎朝4時に起きたりとか、超健気でなぁ……。
──よ、よ、4時!?
カワチ:さすがにそのことを知った主人公がやめさせるけどね。でも今時いないよ、こんなに尽くしてくれるいい娘!
──確かに。なんというか、ステレオタイプの奥様ですね。
カワチ:こんなお嫁さんが欲しいよなぁ。こんなお嫁さんが欲しいよなぁ! まぁでも、麻美は単に従順なだけの女の子だけじゃないんだけどな?
──ほほう。
カワチ:じつは物語の途中で主人公の元・教え子である友理子が教師としてふたりの学校に赴任してくるんだ。でもって、この友理子が主人公に恋心を抱いているわけで、それを知った麻美が焼きもちを焼いちゃうんだよね。
──元・教え子まで絡んでくる? つまり、あれですか。三角関係ってことですか?
カワチ:じつは、そこまで深刻じゃないんだけどね。俺も……いや失礼、主人公も麻美に夢中なわけだしさ。ただ、友理子が家に来ることになったとき、かたくなに自分も家にいると宣言する麻美が可愛くて可愛くて。きっと心配でしょうがなかったんだろうな……。
──なんでしょう……これが若さってヤツなんですかね。甘酸っぱい!!
カワチ:だよな。これがもっと大人の女性だったら余裕のある態度ができたのかもしれないけど。麻美もなんだかんだいって年頃の女の子なんだなって思ったよ。彼女は奥さまであると同時に、まだまだ未熟な女子高生でもあるわけだからなぁ……。そう、奥さまは女子高生なんだよ!
──わ、わかりましたよ。
カワチ:ゲームをプレイしているとわかるけど、麻美自身も自分がまだ女子高生だということをすごく気にしているんだよね。だからいいお嫁さんであろうと頑張ろうとする。でも時々、年相応のところも見せちゃうんだ。そのギャップがいいわけよ。守ってあげたくなるわけよっ!
──そりゃマスターだけ……って言いたいところだけど、男としてなんかちょっとわかるなその気持ち。
カワチ:だろ!? だろっ!?
──女子高生って難しいですね。子供扱いはできないし、かといって大人でもない……。なおさら、どう接したらいいかわからなくなってきた……。
カワチ:そうだろうさ。ただ、最初から簡単に答えを出すんじゃなくて、しっかりと悩むことこそが重要だと俺は思うよ。少なくとも女子高生は女子高生なりに、真剣に恋心と向き合っているってことは、このゲームを遊ぶとすぐに伝わってくるからね。きっとキミに告白してきた女の子も、すごく悩んだんだと思うよ。その気持ちを汲み取って、せめて真剣に考えてあげるべきだろう。結果はどうあれ、ね。
──そうか。そうですね。私は自分の立場ばっかり考えて、保身のためにどうやって断ろうかということにしか頭にありませんでした……。ちゃんと彼女の気持ちと向き合ってみます。受け入れるにせよ拒絶するにせよ、彼女の意思だけはしっかり尊重してあげないといけないですよね。
カワチ:ああ。しっかりと考えた末に出した答えなら、きっとその教え子も納得してくれると思うぜ? がんばりなよ、先生!
──ありがとうマスター。また来ますね!!