都会の喧騒から少し離れたところにひっそりと佇む"ギャルゲーBAR☆カワチ"。ここは、日々繰り広げられるコンクリートジャングルでの生存戦争に負けそうになっているメンズたちのピュアハートを、ゲーム好きのマスターが「ギャルゲートーク」で癒してくれるという、シシララTVオススメのゲームBARなのだ……。
そんな体裁でお送りするギャルゲーコラム。気になる第13回目のお客様の悩みと、その痛みを癒してくれるゲームとは?
第10回目のコラムはコチラ→『Ever17 -the out of infinity -』
第11回目のコラムはコチラ→『かたわ少女』
第12回目のコラムはコチラ→『あやかしびと』
■若くしてこの世を去ったイラストレーター・堀部秀郎氏の作品
──マスター、こんばんは~!
カワチ:おう、いらっしゃい。久しぶりだな、元気だったか。
──ああ、でも大変なことがあってさ。
カワチ:いったいどうしたんだ?
──いやぁ、今になれば笑い話で済むんだけど、おふくろがオレオレ詐欺に引っかかりかけてさ。危なかったんだよ。
カワチ:おいおい、大丈夫だったのか?
──さすがに途中で怪しいことに気付いて、俺に確認の電話をしてきたけどさ。俺が仕事ででっかいミスをしたって聞かされて、冷静な判断ができなかったみたいなんだよね。もっと実の息子を信用してもらいたいものだわ。
カワチ:信用なぁ……。じつは、俺も似たような経験があるよ。
──え、そうなの!?
カワチ:まぁギャルゲーのなかの話だけどね。まずはこれを見てくれ。
──『インタールード』?
カワチ:2003年の3月にドリームキャスト、10月にPS2で発売されたアドベンチャーゲームだ。ちなみにタイトルロゴのデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』の山下いくとさんが担当しているんだ。
──そういわれてみれば、ちょっと『エヴァ』っぽい気がする(笑)。
カワチ:俺はキャラクターデザインの堀部秀郎さんのイラストに一目ぼれして本作を購入したんだ。見てみろよ。引き込まれるだろ?
──本当だ。すごい画力だな。めっちゃ俺好みだよ。
カワチ:ただ、残念ながら堀部さんは2006年に亡くなってしまった。この『インタールード』のキャラクターも登場する『斑霧』という次作品が発表だけされていたんだけど、永久にプレイすることは出来なくなってしまったのさ……。
──そうなのか……残念。
カワチ:ちなみに『インタールード』の廉価版の初回限定版には『斑霧』&『インタールード』公式プレミアムブックが収録されていて、完成していた素材は見ることができるよ。ただ、それを見るとさらにこのゲームをプレイできないことが悔しくなるけどね……。
──歯がゆいなぁ。
カワチ:俺たちができるのは遺してくれたゲームを思いっきり楽しむことだけさ。さぁ、せっかくだから『インタールード』について説明させてくれ。
──ああ、頼むよ。
カワチ:物語は、平凡な生活を送っていた主人公が謎の少女と出会うところからはじまる。その少女は誰もいない無人の世界で暮らしていたんだが、じつは主人公のいる平凡な日常的な世界こそが、ニセモノの作り物だった……という内容だ。
──おぉ、いきなりバリバリのSFで面白そう! ストーリーはけっこう本格的みたいだね。
カワチ:雰囲気がすごくいいんだよな。ちなみに、ゲームをクリアしても物語の謎の多くは曖昧なままになっている。なんとなく想像はできるようになっているから、各自で考察してほしいってことなんだろう。
──でも、クリアしたあとにモヤモヤしそうだね(笑)。
カワチ:そうかもしれん。ただ、それこそ『エヴァ』とか『THE ビッグオー』の謎とかが好きな人はハマると思うぞ。
──たしかに、そこらへんがめちゃ好きな俺からすると、たまらないものを感じる。
カワチ:ここで注意してほしいのは、物語をプレイする順番だ。
──どういうこと?
カワチ:本作には幼なじみの玉城 麻衣子(たまき まいこ)、美人OLの丸藤 泉美(まるふじ いずみ)、ミステリアスな少女の和辻 綾(わつじ あや)という3人のヒロインが登場する。
麻衣子ルートは普通のギャルゲーといった感じで、高校生同士の恋愛がコメディチックに描かれていく。泉美ルートは世界の違和感が確証に変わり、彼女とともに異変を探っていくことになる。日常が日常でなくなる……そういう不安を煽る内容だが、泉美をはじめとした明るいキャラクターたちが物語を彩るから、陰鬱とした雰囲気はないけどな。そして綾ルート。これは危険な土地を実際に探検していく話で、全体的に画面も暗く、緊張感はバツグンだ。
日常が徐々に壊れていく独特の雰囲気をより深く味わうためにも、ぜひこの順番にプレイしてみてほしい。
──ほえ~わかったよ。というかマジで気になってきた。
■もしも高校生の俺が美人で巨乳なOLと付き合うことになったら──
カワチ:よし、それじゃあここからはオススメヒロインの泉美さんについて語ろう。じつはキャラクター的には綾のほうが好みなんだけど、学生のときに本作をプレイしたとき以来、泉美さんのインパクトが強すぎてね……。
──どういうこと?
カワチ:これを見ればわかってもらえるかな。
──うっ! これは……デ、デカいっ!!
カワチ:ああ。セクシー女優も顔負けだろう? 本作の説明書によるとG~Hカップらしい……やべえよやべえよ。
──これは刺激的だね……。
カワチ:泉美とは、彼女が痴漢にあっているところを助けたことで出会うことになるんだが……考えられるか? 高校生の自分が巨乳のOLと知り合いになるシチュエーションなんて。その夢を妄想しただけで……俺は! 俺はもう!!
──た、確かにすごいな。どっちかっていうとマスターの妄想力が……。
カワチ:本人にナイスバディの自覚がなくて、ノースリーブの服を着ちゃったりするのも、じつにけしからんのだよな~。
──マスター、顔キモくなってるよ(苦笑)。
カワチ:逆に、びしっとしたOL姿もそれはそれで眼福なんだけど! ちなみに泉美の同僚でヤンキーっぽい高瀬 優輝(たかせ ゆうき)と先輩でマニアックな趣味を持っている峯岸 薫子(みねぎし かおるこ)という2人も登場するんだけど、彼女たちもめっちゃセクシーでたまらん。優輝さんの部屋にみんなで集まるシーンとか、もう何かの撮影みたいでヤバいよ!
──……ふぅ。じつにけしからんな……。
カワチ:俺はとくに薫子さんが好きでね。主人公に「自立しろ」とからかっている優輝さんに彼女が「そういう男性はママになってあげればいいから簡単に落とせる」と返すシーンですごく興奮したもんさ。なんてことはないシーンなんだけど、俺はすごいエロスを感じたんだ。本当にママになってほしいよ……。ママ、ママ―!
──大丈夫かなこの人!?(苦笑)
カワチ:ちなみに『斑霧』に登場する予定だったのが、この薫子さんなんだよねー。残念だ。ま、そんな夢みたいなシチュエーションの泉美ルートなんだけど、ひとつ大きな欠点があってね。
──え? なんなの!?
カワチ:泉美さんが天然なんだよね……。主人公と行動を共にする理由も“自分の王子様を捜したい”っていう理由だしな。
──アイタタタ(笑)。
カワチ:ちなみに説明書の情報だと彼女の好きな男性のタイプは“ミニプリオ”と“ソリ松くん”らしい。当時の流行なのかもしれないけど、また絶妙なところをついてくるよな(笑)。
──時代がわかるね。名前のもじり方、嫌いじゃないわー。
カワチ:話を戻すと、彼女は意識の低さから痴漢や下着泥棒に遭いやすいんだけど、そういうことをしてきた相手は、なぜか事故にあってしまうらしんだ。そして彼女はその理由について、自分のことを王子様が守ってくれているからであると考えているのさ。
──無茶苦茶だなぁ。それで主人公は王子様捜しを手伝うの?
カワチ:ああ。普段は陰から見守っているに違いないという泉美の考えのもと、彼女が普段使っているコンビニの店員とかに聞き込みをするんだけど、泉美の天然エピソードが明かされていくだけで、のきなみハズレなんだ。
──あらら。
カワチ:その後、物語が進むと泉美が会社で「この街には、もうひとつの街が重なっている」というデータを見つけてしまったこと、そしてそれをひとりで調査していたことがわかる。
──おいおい、いきなり物語の核心じゃないかそれ。そ、それで?
カワチ:不可解な出来事が起きるようになりつつも、ふたりは真相を探るため夜の会社に忍び込むんだ。
──なんかバイオレンスな香りがしてきた。このギャップがたまらんな。
カワチ:上司の机を調べていたところ、突如として足音が聞こえてくる。ふたりはとっさに机の下に隠れるんだが、なんとそこで……。
──そ、そこで!?
カワチ:泉美と密着した主人公が、エレクチオンしてしまう!
──うおおおおおおおおおい! なんだよそれ!!(笑)
カワチ:あのな、エレクチオンに気付いた泉美さんの反応がまたすごくいいんだよ!(笑) なんといっても、泉美さんを演じていたのはあの金月真美さんだぞ? かつて国民的幼なじみの美少女キャラを演じた声優さんが、年齢を重ねて演技派になり、こういうシチュエーションの演技をするというのがさ……もうたまらなくねぇか?
──わかる、マスターわかるわ。一緒に下校してウワサになったりしても恥ずかしくないくらいたまらないわ。
カワチ:だろー!? そういう経緯もあって、主人公と泉美は仲良くなるんだけど。謎を追っていくうちに、知り合いになった杉浦という男が殺されてしまう事件が発生してな。
──え!? またまた急展開じゃないか!
カワチ:ちなみに杉浦はかなり格好いい男キャラ。彼が終盤で復活するルートもあるから、そこらへんは実際にプレイして確かめてほしい。
──ああ。男キャラが格好いいっていうのは大事だよな。
カワチ:事件に責任を感じた泉美は、主人公に自分とはもう関わらないでほしいと頼むんだ。ここからはひとりでやるからと。
──いやいや、こんな危険な状況で彼女をひとりにしちゃうのか?
カワチ:そんなわけないだろ! すでに泉美に惚れていた主人公は、彼女をひとりにはできないと、危険を承知でいっしょにいてあげる道を選ぶに決まってるだろうが!!
──やったぜ!! 俺だってそうするわ。
カワチ:それで彼女も告白するのさ。主人公が王子様だって気付いていたってな……。ここから先がどうなるかは、実際にプレイして確かめてもらうとして。自分が年下であろうと天然である泉美を支え続け、最後は頼れる男にすらなった主人公は、ずいぶん恰好いいだろう?
──ああ。
カワチ:誰かの信用を勝ち得るってことは、きっとこういうことなんだって思うんだよ。
──わかってるよマスター。俺がもっとしっかりすればそれだけおふくろも安心できるし、そうなればオレオレ詐欺なんかにも引っかからなくなるってもんだよな。
カワチ:話が早いじゃないか。俺たちのおふくろももういい年齢だし、大事にしてやらないとな。そのためにも、早いところしっかり自立する必要がありそうだ。
──ありがとうよマスター、いい話を聞かせてもらって感謝してる。また来るぜ!
カワチ:おう。おふくろさんを大切にな。