都会の喧騒から少し離れたところにひっそりと佇む"ギャルゲーBAR☆カワチ"。ここは、日々繰り広げられるコンクリートジャングルでの生存戦争に負けそうになっているメンズたちのピュアハートを、ゲーム好きのマスターが「ギャルゲートーク」で癒してくれるという、シシララTVオススメのゲームBARなのだ……。
そんな体裁でお送りするギャルゲーコラム。気になる第17回目のお客様の悩みと、その痛みを癒してくれるゲームとは?
第14回目のコラムはコチラ→『True Love Story Summer Days, and yet...』
第15回目のコラムはコチラ→『つよきす ~Mighty Heart~』
第16回目のコラムはコチラ→『リップルアイランド』
■今日のギャルゲーBARはネコミミDAY!? マスターがネコミミでお出迎え!
──マスター、こんばんはー。
カワチ:いらっしゃいませニャン。
──え?
カワチ:こっちこっち! どうぞ、お座りくださいニャン!!
──えっと……入るお店、間違えました!
カワチ:ちょっと待つニャン。ここはギャルゲーBARで合ってますニャンよ?
──……なぁ、マスター。率直に言ってこのまますっげえ帰りたいんだけど、あえて聞くよ。なんでアンタはネコミミのカチューシャを付けてるんだ?
カワチ:今日は年に1度のネコミミDAYですニャン。楽しんでいってほしいですニャン!
──ネコミミはガマンするから、せめてその語尾だけはやめてくれよ! こっちはただでさえ悩みで頭が痛いっていうのに。頭痛がひどくなるわ。
カワチ:チッ、わかったよ。それで、何を悩んでいるっていうんだ?
──うーん、ネコミミ姿で素に戻るとキモ……いやいや。じつは俺、調理師免許を取ろうと思って勉強しているんだけど、試験の科目が予想以上に多くてテンパっちゃっててさ。
カワチ:なんだ、お店でも始めるのか?
──まぁ、そんなところ。自分のお店って長年の夢だったもんでね。
カワチ:なら、こんなところで油を売っている場合じゃないだろ?
──ネコミミのおっさんに正論言われるとアレだけどさ……。まぁ、そこはそれ。息抜きも必要じゃない?
カワチ:やれやれ。そんなお前にはこれだな。
──『ネコぱら vol.1 ソレイユ開店しました!』……なんだこのゲーム?
カワチ:フッ、知らないのか。世界的に人気の「ネコミミゲー」なんだぜ。
──ネコミミが世界で人気!? いやいや、なんの冗談だよマスター。
カワチ:フフフ……。それが本当なんだよ。まず『ネコぱら』とはなんなのかを説明しようか。
──そうだね。さすがに説明を受けないと納得できないぜ。
カワチ:『ネコぱら』は、もともと中国出身のイラストレーター兼原画家である、さよりさんのオリジナル同人誌がはじまりなんだ。ヒロインのショコラとバニラも、元々はサークルの看板娘だったわけさ。
──ほうほう。
カワチ:さよりさんは美少女ゲームブランド・スミレでも原画を担当していたのだが、そこで同じくスミレでシナリオを担当していた雪仁さんに、同人ゲームの製作に誘われたのさ。そうして出来たゲームがNEKO WORKsの『ネコぱら』ってわけ。
──ほえー、同人誌のオリジナルキャラクターをヒロインにしてゲームを作ったってこと? でも、同人なのに世界的に人気ってどういうことよ!?
カワチ:うむ。いちばんの理由は『ネコぱら』がSteamを介して海外にも配信されていることだ。日本語・英語・中国語の3カ国語がサポートされているぞ。かなり開口が広いだろう?
──おお……萌えが世界に! ワールドワイド!!
カワチ:アメリカに本社を置く「Sekai Project」という会社が、本作のローカライズを担当していていね。ここは多数のビジュアルノベルをローカライズ&パブリッシュしているメーカーさんだ。『CLANNAD』や『グリザイア』シリーズなどの日本の名作ビジュアルノベルが翻訳されて、steamで売られているのもここのおかげなんだよ。
──そんなに有名なのか、ぜんぜん知らなかったぜ。ただ、翻訳して販売したとしても話題になるとは限らないだろ? なぜそんなに『ネコぱら』は人気なんだ?
カワチ:バカ野郎! キャラクターがカワイイからに決まってるだろう!!
──そんなに単純な理由なのかよ!?
カワチ:いや、重要なことだぞ。よく見てみろ。
──たしかに、大切だとは思うけどさ。まさか世界に萌えが通じるとはね……。
カワチ:『ネコぱら』には2Dイラストを立体的に動かす「E-mote」が採用されているんだ。みんな本当にそこに息づいているかのように動き回るし、なによりネコミミがかわいく動く! ピコピコと動くんだよ!!
──くぅっ! 確かにこれはカワイイ……カワイイぞッ!!
カワチ:そうだろ? 実際に動いているところを見てもらわないことには伝わらない衝撃なんだけどさ……。これには海外のゲーマーたちも「kawaii!!」って言うよね。ちなみに『ネコぱら』はOVA制作のクラウドファンディングが行われたんだけど、わずか42分で目標の10万ドルを達成したよ。最終的には100万ドル。約1億円の資金を集めた。すごくね!?
──本当にすごいな! たださ、肝心なのはなんでこのゲームを俺に進めてくれたんだ? ってとこなんだけど。その理由を教えてほしいわけですよ。
■目指せ、鈴持ちネコ! 2匹の特訓がはじまる!!
カワチ:ふふ、そうだな。ではまず、本作のストーリーについて解説しよう。和菓子屋の息子である主人公・水無月 嘉祥(みなづき かしょう)。彼は実家である和菓子屋を離れて、自分のケーキ屋『ラ・ソレイユ』を開店するため、準備を進めていた。
──おっと。俺もお店を始めようと思っているし、ちょっと共感するなぁ。
カワチ:でもって、新しい店内に足を踏み入れた主人公の前には、謎のダンボールが! なんとそこにはショコラとバニラ、実家で飼っていた2匹のネコが入っていたんだ!!
──ネ、ネコ? どう見ても女の子なんだけど……。
カワチ:この世界では、ネコは女の子なんだよ。人間ほどではないけどちゃんと知能もあるんだぞ。まぁ、本能に逆らえずにネコっぽい行動を取ることが結構あって、そこもまたカワイイんだけど……。
──え~と、いろいろツッコミたいんだが!?
カワチ:すまん! ツッコまれても困るぞ!! 擬人化っていうことで納得してくれ。そうしないと話が進まないからな(笑)。
──うーん、わかった。というか、俺もカワイイというだけで大抵のことは許せるタイプだからね(笑)。で、その2匹のネコはなんでダンボールに入っていたんだ?
カワチ:黙って家を出た主人公のことが心配で、引っ越し荷物に紛れてやってきたのさ。どうよ、健気で……。
──カワイイ!!
カワチ:だろー!? 明るいショコラと大人しいバニラの対比が、またいいんだよ。どっちもカワイイんだ!
──マスター、ニヤけ過ぎでしょ!!
カワチ:ああ、すまんすまん……って、そっちも人のこといえないぞ!?(笑) とにかく、主人公はショコラとバニラを実家に帰るように説得するんだけど、2匹は頑として聞かないんだ。仕方ないから家に泊めてあげることになるわけだけど……。
──ふむ。
カワチ:そして次の日、配送ミスで大量の荷物が届くことになり、まさかの開店準備が滞ってしまう事態に! ネコの手も借りたい主人公は、ここで文字通りネコの手を借りることになる。
──ショコラとバニラに手伝ってもらうってことか!
カワチ:ああ。彼女たちの協力でトラブルが解決するんだよ。だが主人公はこれ以上、2匹に迷惑をかけられないからと考え、改めて実家に帰るように説得する。ショコラは涙ながらに帰ると告げるのだが……。
──お、おう……。それで?
カワチ:ショコラは、主人公のことが大好きだからどうしても一緒にいたいと妹の時雨(しぐれ)にお願いしたことを、そしてバニラは主人公と一緒にいられないことのほうが辛いことをそれぞれ伝えるんだ。それで主人公は、2匹を実家に帰すことを諦める……。
──そうこなくっちゃね! でも、なんで2匹はそんなにも主人公のことを慕っているんだろう。
カワチ:ああ、それにはちゃんと理由があるよ。2匹は拾われた当初、環境になじめないで病気になっちゃったんだけど。そのとき2匹をずっと看病していたのが、ほかならぬ主人公なのさ。
──なるほど、そこで絆が生まれていた……と。
カワチ:そんなわけで、主人公は2匹を看板娘ならぬ看板ネコとして“ラ・ソレイユ”を開店するんだ。
──めでたいな!
カワチ:2匹がカミカミになりながら接客するところとか、もうすごくカワイイんだよな。
──おぉ、ホントだ。思わずニンマリしてしまうっ!!
カワチ:しかし、お客さん第1号は黒いマントと帽子、大きなサングラスをかけたすごく怪しい人物。
──えぇー!?
カワチ:ははは(笑)。その正体は様子を見に来た妹の時雨なんだけどさ。ちなみに彼女はお兄ちゃん大好きッ娘で、俺のいちばん好きなキャラクターでもある。
──マスター、ここまできてお気に入りはショコラとバニラじゃないの? ネコミミ萌えのゲームなんだろ!?
カワチ:まぁ、そこはそれってことで! やっぱり妹はいい、妹はいいんだよっ!!
──そ、そうか。ごめん、ちょっと引いたわ……。
カワチ:ちなみに、時雨に連れられてショコラとバニラの姉ネコたちも来店する。彼女たちはサブキャラクターなんだが、『vol.2 姉妹ネコのシュクレ』や『vol.3 ネコたちのアロマティゼ』ではメインキャラクターになるから、もし気になったらプレイしてみてほしい。
カワチ:『vol.3』が発売されたのは比較的最近のことだな。俺は速攻で買ってしまったが(笑)。ちなみに『ネコぱら vol.0 水無月ネコたちの日常!』という前日譚もあるよ。
──なるほど、本当に人気のタイトルなんだな。
カワチ:公式ツイッターで「Nekopara is not over yet. Vol.4 is coming soon!」と言っているから、今後もどんどん盛り上がっていくだろうね。つーか、これからっしょ!
──そのセリフ、なんだかなつかしいね(笑)。まぁ、公式ツイッターは俺も注目しておくよ。
カワチ:おう。話が逸れちまったから元に戻すと、店にやってきた時雨はネコが外出したりするときに、鈴の形をした「単独行動許可証」が必要だということを主人公に説明するんだ。姉ネコは鈴持ちだが、末っ子であるショコラとバニラはまだ鈴を持っていないんだよね。
──ということは、もしかしてお店で働いちゃいけなかったのか。
カワチ:手伝うぐらいなら大丈夫だけどな。看板ネコとしてやっていくなら、やはり鈴が必要なんだ。だからショコラとバニラは、時雨の教育のもと、鈴の取得に挑戦することになる。
──ほう!
カワチ:時雨はショコラとバニラを含めて、6匹のネコを世話してきたからね。それで、まず彼女は鈴持ちであるアズキとココナッツをお手本にネコの本能を抑える訓練を見せようとするんだ。でも2匹は我慢できずにトロに食らいついたり、虫に気を取られてしまうんだよ(笑)。
──えぇ!? なんだかその姿を想像するとニヤけそうにもなるけど、それはダメだろ……。
カワチ:そう、ダメなんだよなぁ(苦笑)。でも、鈴の取得には一般常識と小学校レベルの学力が必要だから、ショコラとバニラは先輩ネコたちの教えを受けながら一生懸命に努力するんだよ。
──それも主人公を想ってのことだとすると、なんだかハートにくるな……。
カワチ:そうして苦労の甲斐もあり、ショコラとバニラは見事に鈴をゲットするんだ。しかも、彼女たちは最年少で試験に合格したんだぜ。
──おぉ、すごい!
カワチ:試験の点数自体はギリギリだったけどね(笑)。デリバリーも2匹だけでしっかりこなし、名実ともに看板ネコになるってわけさ。何が言いたいかというと、つまりだな……。
──マスター、なんとなくわかってるぜ。大丈夫、俺もショコラとバニラのように努力して、なんとしてでも資格をゲットしないと! そう燃えてきているところだよ。
カワチ:わかってくれていたか。かなえたい夢があるのであれば、きっと頑張れるハズだ。それこそ、ショコラやバニラのようにな。……ちなみに『ネコぱら vol.1』のストーリーはまだまだこんなところでは終わらないぞ。ショコラが発情期になったり、それでバニラが嫉妬しちゃったりと……まぁステキな展開が続々なんだよね。
──そ、そこのところ詳しく! 発情期とか、とくに詳しく!!
カワチ:気になるかい?
──も、もちろん! 続きを聞かせてくれぇ~。
カワチ:だが断る。
──なん……だと!?
カワチ:それは、あんたが調理師免許の試験に合格したあと、自分でゲームをプレイして確認しなきゃあダメだろう。
──うっ。それはごもっとも……。
カワチ:……ちなみに最後にひとつ言い忘れていたが、Steamの運営元であるValve Corporationは、性表現を含むゲームの販売を禁じているが、外部で性表現を含むパッチを配布することを禁止してはいない……。あとは、わかるな?
──えぇっ!? つ、つまりどういうことだってばよ! 説明しろ、カワチ!!
カワチ:なんで呼び捨て!? ホントに困ったヤツだなぁ。おおよそ察しているだろうけど、NEKO WORKsの公式ダウンロードショップで「Steam用18禁DLC」ってのを購入して、パッチをあてればだなぁ……。
──おおっと、なるほどなるほど! すまないマスター、大事な用を思い出したから今日は帰るぜ!!
カワチ:あ、おい! ちゃんと試験勉強はするんだぞー……ってもう聞こえてないか。やれやれ本当に困ったヤツだ。ま、これでやる気を出してくれるならいいんだけどな(苦笑)。