都会の喧騒から少し離れたところにひっそりと佇む"ギャルゲーBAR☆カワチ"。ここは、日々繰り広げられるコンクリートジャングルでの生存戦争に負けそうになっているメンズたちのピュアハートを、ゲーム好きのマスターが「ギャルゲートーク」で癒してくれるという、シシララTVオススメのゲームBARなのだ……。
そんな体裁でお送りするギャルゲーコラム。気になる第19回目のお客様の悩みと、その痛みを癒してくれるゲームとは?
第16回目のコラムはコチラ→『リップルアイランド』
第17回目のコラムはコチラ→『ねこぱら』
第18回目のコラムはコチラ→『探偵オペラ ミルキィホームズ』
■もしも12人のかわいい妹がいたら!? 『電撃G'sマガジン』の伝説的な読者参加企画!
カランカラン
カワチ:いらっしゃい。
──どうも……。マスター、今日は酔いたい気分なんだ。強めの酒をくれるかい?
カワチ:それはもちろん構わないが、いきなり酔いたいだなんてどうした? 何かあったのかい?
──ああ、今度の週末に彼女のお父さんに挨拶しにいかなきゃならなくてさ。今から緊張しているんだよ。
カワチ:ハハハ。そいつはたいへんだな。
──くそぉ。他人事みたいに。どうやら彼女のお父さんが警視庁のお偉いさんらしくてさ。本当にビビってるんだぜ!?
カワチ:なるほどね。そんなキミには、強い酒よりもこちらが必要なようだ。
──『シスタープリンセス』? また萌え萌えな……。
カワチ:なんだと? まさかとは思うが『シスタープリンセス』……『シスプリ』を知らないのか?
──うーん、聞いたこともない。
カワチ:お兄ちゃんのことが大好きな12人の妹が登場する『シスプリ』だぞ? 知らないってどういうことだよッ!!
──いや、だから知らないって!! つーか妹が12人!? どういうことだって問い詰めたいのはこっちの方だよ(笑)。
カワチ:だよな、きっと知らないだろうと思ってた(笑)。ではまず『シスプリ』の説明から始めよう。もともとは雑誌「電撃G's magazine」に連載されていたイラスト付きの小説だったんだが、その人気に後押しされてゲームやアニメ、ラジオなど、マルチメディアに展開された作品なんだ。ちなみに近年、15周年記念でTVアニメのBlu-ray BOXが発売されたりして、再び人気が再燃している。
──へぇ。いったいどんなストーリーなの?
カワチ:12人の妹……当初は9人だったものの、のちに3人が追加されて12人になったわけだが……その妹たちと“お兄ちゃん”の交流を描くのがストーリーの根幹となる。じつは、設定がメディアごとに異なっているのが特徴でな。たとえば「電撃G's magazine」の小説は、妹ごとに異なるお兄ちゃんが存在しているが、ゲーム版ではひとりのお兄ちゃんに12人の妹がいる設定になっている。
──マルチメディアならではの展開だな。12人の妹っていうのも、改めてすごい設定だし。よくそんな突拍子もない設定の作品が受けたもんだ。
カワチ:ああ。実際、「ありえない」と言って笑っている人も少なくなかったよ。ただ、作品に触れてもらえばわかると思うんだけど、とにかく妹たちがかわいくてね。ぶっちゃけていうと、それはいわゆる“オタクを狙い撃ちする可愛さ”ではあるんだけどさ。オタクが思い描く理想の妹とでもいえばいいのかな……。
──それ、オタクとかあまり関係なくない? 正直、俺も自分を慕ってくれる妹がいたらいいなって妄想することはあるし、そういった願望上の妹は……まぁ、のきなみ可愛いもんだろ。
カワチ:お、話せるねぇ。つまるところ、需要と供給の一致ってことなんだよな。二次元だからこそ描ける“理想の妹”が生み出されたことで、その深い沼から抜け出せなくなった人間も多かった。そう、『シスプリ』沼にな……。
──いやいや、沼ってねぇ(笑)。
カワチ:笑いごとじゃないんだって! 『シスプリ』って『セラフィムコール』とか『センチメンタルグラフティ』の系譜だったから元から注目度は高かったし、当時は妹キャラクターのブーム前夜でもあったから、この作品で一気にオタクたちのリビドーが爆発して、結果的に大人気になったんだよ!!
──満を持しての登場だったってわけか。
カワチ:選り取り見取りの9人、後に3人が追加されて12人の妹キャラクターが登場するからな。よほどの年下嫌いでもなければ、誰でも心にズキュンとくるキャラクターはいるってわけよ。
──正直、わかる気はする(笑)。
カワチ:もちろん設定がうまかったというのもあるけど、内容も良かったんだ。後に『ラブライブ!』で有名になる公野櫻子さんのキャラメルを更に甘くしたような、ある種の麻薬に近いその文章にやられたファンも多い。
──『ラブライブ!』は聞いたことあるぞ。そのテキストを担当している人が文章を書いているのか。それは人気も出るよな。
カワチ:うむ。昔からのオタクからすれば、公野櫻子さんといえば『ラブライブ!』より『シスプリ』なんだぜ。あと『シスプリ』が展開していた2000年って、ちょうどインターネット環境が整い始めて、ユーザー同士の交流が盛んになった時期なんだよな。それによって生まれるシンパシーというのも、ブームが拡大した理由だと思う。
──時代の後押しも受けていたってことね。
カワチ:さて、今からキミにはゲーム版『シスプリ』の魅力を伝えていこうと思う。が、本当にハマりすぎないように気を付けてな? いや、ハマってもいいけどお義父さんの前で「娘さんのハートをチェキ!」とか言うなよ?
──言わねえよ(笑)。それで、どんな内容のゲームなんだい?
カワチ:ああ。システム自体はオーソドックスで、マップ画面で会いたい妹を選んだり、メールでやり取りをしたりしながら物語を進めていく。特徴的なのは「プレイヤーの選択によって実妹(血縁)か義妹(非血縁)か変化する」ところかな!
──え、何そのご都合展開! 許されるのかそんな設定。
カワチ:そう言われても、通常のギャルゲーでいうところの「ベストエンド」と「グッドエンド」みたいなものだから、そこまで大きな変化はないんだよ。ちなみに義妹(非血縁)のほうが恋人っぽい感じでラブラブになるから、ベストエンドといえるのかな。専用のCGもあるしね。まぁでもそこはお好みしだいかも。実妹と兄妹の関係で仲良くなりたいっていうお兄ちゃんもいるだろうしねぇ。
──そこは、2つの結末を用意してくれたことで妄想の幅が広がったと考えることもできそうだね。
カワチ:それは悪くない考え方だな。ちなみに物語は9人の妹たちが、帰国子女である春歌・四葉・亞里亞の3人の歓迎会を開くシーンから始まる。ここからは12人の妹を駆け足で紹介していくから、お気に入りの女の子を見つけてくれ。
──ああ、わかった。ぶっちゃけイラストはとてもいいな!
■12人の妹を一挙に紹介! お気に入りがきっと見つかるハズ!!
カワチ:よし、まずは可憐(可憐)。CVは桑谷夏子さんで呼びかたは「お兄ちゃん」だ。面倒見が良い反面、お兄ちゃんに対してはちょっぴり甘えん坊なところもある。正統派ヒロインといった感じでパッケージなどではも大きく描かれることも多かったね。
──正統派ヒロイン! かわいいじゃないか。嫌いじゃないよ。
カワチ:正統派ということで逆にパンチが弱かったのか、人気投票では伸び悩んでほかの妹たちに一歩及ばなかったけどね。それでも人気の女の子だよ。続いて花穂(かほ)だ。呼びかたは「お兄ちゃま」でCVは望月久代さん。ドジッ娘でチアリーディング部に所属している。
──んー? もしかしてひとりひとり兄の呼びかたが違うのか?
カワチ:ああ、よく気付いた。そこも『シスプリ』の特徴だ。続いて衛(まもる)。呼びかたは“あにぃ”で性格はボーイッシュな女の子だ。CVは小林由美子さんだな。
──妹というよりも弟っぽいイメージ?
カワチ:彼女は女の子扱いされるのが嫌なんだよ。ブラジャーをしていなかったりするくらいだからな。
──なんでブラのこととか知ってるの? というか、そこが「女の子扱いされたくない」につながるのか!? すごいな……。
カワチ:フフ、俄然この作品のことが気になってきたようだな。じゃあ、続いては咲耶(さくや)。CVは堀江由衣さんだ。おしゃれでセクシーな女の子で、兄にひとりの女の子として見てもらいたいと思っている。呼びかたは“お兄様”だ。
──ほう、ずいぶんと積極的な女の子だな。ぶっちゃけ見た目はかなり好みだが……。
カワチ:人気投票ではいつも首位を争っていたぐらい人気の妹だよ。続いて雛子(ひなこ)。呼びかたは“おにいたま”でCVは千葉千恵巳さんだ。無邪気で人懐っこい性格と舌っ足らずな言葉遣いで“そういう趣味の大人”たちを虜にした……。
──どういうこと?
カワチ:まぁ、そういう、あれだ? 小さい女の子が好きな? そういう? いや、これだと誤解を招くな。すまん。えーと、実際にプレイしてその魅力を確かめてくれ!
──歯切れわるっ!!(苦笑)
カワチ:次は鞠絵(まりえ)。呼びかたは“兄上様”でCVは柚木涼香さん。病弱な眼鏡っ娘で大人しい性格をしている。
──眼鏡っ娘……これも需要がありそうだな。
カワチ:彼女は療養所で入院生活をしているから会う機会が少ないんだよね。でも、そのぶん再会したときものすごくうれしそうにしてくれて、そこがいいんだよ~。続いて白雪(しらゆき)。CVは横手久美子さんで呼びかたは“にいさま”だ。独特なロールヘアを大きなリボンでまとめているので印象に残りやすいな。彼女は料理が好きでお兄ちゃんに手料理を食べてもらうことが生きがいなんだ。
──家庭的な妹か。悪くないじゃん!
カワチ:なんだ、そういう女の子が好きなのか? さて、続いての妹は鈴凛(りんりん)。呼びかたは“アニキ”でCVは神崎ちろさんだ。機械いじりが大好きな発明少女で、自分そっくりな等身大ロボット“メカ鈴凛”を製作するほどだな。
──えぇ!? 急に設定がSFになったな(苦笑)。
カワチ:だが、それがいい。というか、もっとえらいことになってる妹もいるんだが……(笑)。
──ん?
カワチ:さて、ということで次は千影(ちかげ)だ。CVは川澄綾子さんで呼びかたは“兄くん”だ。彼女はオカルト系の文献を集めていたり怪しい薬草を調合していたりとミステリアスな雰囲気の妹なのさ。
──“あにくん”って響きがヤバい。ゾクッとしたわ……これまた個性的な女の子だね。
カワチ:ああ、彼女が人気投票でも咲耶と1位を争う人気を得たのは、まさにその個性的な部分を好まれたがゆえだろう。さて、ここからの3人は後から追加された妹だな。まずは春歌(はるか)だ。呼びかたは“兄君さま”……なかなかスゴいだろ、“あにぎみさま”って。ちなみにCVはかかずゆみさんで、お兄ちゃんの護衛と身の回りの世話をするためにドイツからやってきた妹だ。
──後から追加されただけあって、兄の呼びかたもちょっと苦しいね(笑)。それに設定もぶっ飛んでるなぁ。
カワチ:そうだな(笑)。彼女は立派な大和撫子になろうと、茶道や武道などの稽古事をたしなんでいる。しっかりしている一方で暴走したり、天然ぶりを発揮したりとギャップのある女の子だ。
──それ知ってる。ギャップ萌えってやつだな!
カワチ:続いては四葉(よつば)。呼びかたは“兄チャマ”でCVは半場友恵さんだ。日本で暮らす兄のことが知りたくてイギリスからやってきた妹だな。シャーロック・ホームズにあこがれていて、探偵の真似事みたいなことをやっている。口癖は「チェキ」……かわいいだろ。
──イギリスだからシャーロック・ホームズって安直すぎないか? それにしてもすごい口癖だな。
カワチ:さて、最後となる妹は亞里亞(ありあ)。フランスからやってきた妹で呼びかたは“兄や”。CVは水樹奈々さんだ。上流階級のお嬢様で泣き虫な女の子だな。
──え!? 水樹奈々さんって紅白歌合戦に出てたあの!?
カワチ:ああ、奈々さまが新人の頃に演じたキャラクターだ。ぜひチェックしてみてくれ。さて、これで12人の妹が揃ったけど、どうだい?
──12人の妹がいると聞いたときはビックリしたけど、どの女の子もかわいいじゃないか。人気が出たのもうなずけるよ。
カワチ:そうか、そうか。じゃあ実際にゲームもプレイしてみてくれよ。甘~いテキストやボイスにやられると思うぞ。
──ああ、ここまで来たら遊ぶ気満々だぜ。だが、なんで俺にこの作品を勧めたんだ?
カワチ:ちょっとネタバレになって申し訳ないんだけど、キミの状況と千影のストーリーが重なってしまってね。
──千影……。さっき教えてもらったミステリアスな妹だよね。兄くん呼びの。
カワチ:ああ。彼女は棺桶の中で寝たりだとか挨拶が「また、来世」だったりと、かなりぶっ飛んだ娘だ。まぁそこもかわいいんだけどね。でへ。
──それ、「ミステリアス」ですませていいのか? でもってそこにときめくのかよ!!(苦笑)
カワチ:かわいいは正義だからな。でもって、そんな彼女……じつは魔界の住人なんだ。
──はい~!!!!???? 今、魔界っていった?
カワチ:原作の小説は前世からの結びつきで兄妹として転生したという設定なんだけどね。ゲーム版は魔界の住人だ(笑)。お兄ちゃんに妖しい実験などをしていたのも、彼が魔界で暮らせるかどうか試していたんだな。
──ヒェ~。これは予想外にぶっとんだ話だな……。
カワチ:それで千影と仲良くなったお兄ちゃんは、彼女の誕生日に魔界の王である千影のお父さんに挨拶しにいくことになるんだ。
──えぇ!? それって次期魔王候補になるってこと!? 意味がわからん!!
カワチ:まぁ、あっさり不合格を言い渡されてしまうんだけどな(笑)。
──そりゃそうだよね……ってなんかもうハチャメチャだなっ!!
カワチ:でも、最終的には千影が父親を説得してくれるんだよ。彼女はお兄ちゃんのことが大好きだから、ずっと一緒に居たいんだよね。
──そこまで主人公を慕ってくれているわけね。
カワチ:結局は、相手に対する想いの強さだってことさ。強引と思われるかもしれないが、ぶっちゃけ魔王に比べたら警察官なんて怖くないと思わないか?
──ハハッ。マジでめちゃくちゃな理屈だけど、そう考えればたしかにね。なんかいい意味で肩の力が抜けた気がするわ。俺も千影に負けないよう、頑張って向こうのお義父さんに気持ちを伝えて来るか……。
カワチ:恋人のことが大切なんだろ? だったら、その気持ちを伝えればきっとうまくいくさ。
──やってみるよ。ありがとうマスター、結果は報告させてもらうぜ。じゃあな。
カワチ:ああ、待ってるぜ。