【ToHeart】健気なメイドロボと接することでおもてなしの心を知ることができる!【ギャルゲーBAR☆カワチ_第25回】
都会の喧騒から少し離れたところにひっそりと佇む"ギャルゲーBAR☆カワチ"。ここは、日々繰り広げられるコンクリートジャングルでの生存戦争に負けそうになっているメンズたちのピュアハートを、ゲーム好きのマスターが「ギャルゲートーク」で癒してくれるという、シシララTVオススメのゲームBARなのだ……。
そんな体裁でお送りするギャルゲーコラム。気になる第25回目のお客様の悩みと、その痛みを癒してくれるゲームとは?

第22回目のコラムはコチラ→『車輪の国、向日葵の少女』
第23回目のコラムはコチラ→『同級生2』
第24回目のコラムはコチラ→『サーカディア』

■Leaf制作のビジュアルノベル第3弾は王道学園モノ!

──マスター、いますかぁ? お届けものですぅ。

カワチ:おぉ、配達ごくろうさま。やれやれ………頼んでいたギャルゲーがようやく届いたか。今日店に来るお客さんにリクエストされていたから、なんとか間に合ってよかったよ。

──すみません。バタバタしちゃって。はい、こちら『情熱☆熱血 アスリーツ ~泣き虫コーチの日記(ダイアリー)~』です。

カワチ:あぁこれこれ。じつはこう見えてマッチョな男を育成するのが好きでね……ってオイ!! こんなの頼んでないよ、オレ。

──あぁ、ごめんなさい! 間違えました!! ご注文はこちらでしたよね。『SIMPLE2000シリーズ Vol.38 漢のためのバイブル THE 友情アドベンチャー ~炎多留・魂~』。

カワチ:そうそうこれこれ。コンシューマ版はAD君が攻略可能になってうれしかったんだよ……って、だから違う! オレが頼んだのはギャルゲーだよ!!

──あれ? あれあれ!? すみません! 持って来るの忘れちゃったみたいです……。

カワチ:えぇ!? しっかりしてくれよ! ギャルゲーBARにこんな男くさいゲームばっかりあっても、なんの役に立たないよ!!

──申し訳ありません……。自分っていつもこうなんですよ。ドジばっかりで。もっと機械みたいに正確な仕事ができればいいのに……。

カワチ:やれやれ。お兄ちゃん、ちょっとそこに座りなよ。

──あ、はい………。

(コトッ)

──ん? なんですかこれ?

カワチ:『ToHeart』……1997年にオリジナルとなるPC版、1999年にコンシューマ移植版が発売された、超名作ギャルゲーさ。ちなみにPC版は『To Heart』だが、コンシューマ版は『ToHeart』。単語の間にスペースが入らないんだぜ。ここからはこのスペースなしの『ToHeart』で表記を統一させてもらおうかな。まぁ、今このトリビアを知ったところで使う機会はほぼないけど……。
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──は、はぁ。聞いたことないんですけど、有名なゲームなんですね。

カワチ:あぁ、有名も有名………有名すぎるがゆえにこのギャルゲーBARでも敢えて取り上げなかったぐらいだ。とはいえ、PCでこの作品が発売された20年前は今ほど“萌え”がメインカルチャーとして語られることがなかったから、世間的な知名度が高かったわけじゃないけどね。でもアニメ化もされたし、PS版も10万本以上の売上だったし、オタク界隈ではすごい勢いだった。

東鳩の愛称が生み出されたりと、とにかくファンが熱くてね。二次創作がものすごく盛んだった。オレも『Go!To!Heart』というマンガが大好きで、フロッピーで買ってたものさ…………。

──遠い目をしている……。そこまで人気ということは、よっぽどストーリーが斬新だったりしたんですかね?

カワチ:いや、じつはそういうわけでもないんだ。『ToHeart』を発売したLeafはそれまで『雫』や『痕』というカルトな伝奇モノを発表していたんだが、次はもっと広く売れるものを作ろうということで王道のラブコメを作ることになった。それがこの『ToHeart』なんだよ。だから『ToHeart』は正統派な学園ラブコメなんだ。

──なるほど……。ボクは王道って嫌いじゃないですよ。安心して楽しめるし。

カワチ:ああ。「王道=退屈」って人もなかにはいると思うけど、丁寧に作られた王道ストーリーほど人の心を揺さぶるものはないからな。あと、サスペンスを発表してきたLeafが王道ラブコメを作るということ自体が、これまでのLeafへのカウンターになっていて話題になった。

ちなみに『ToHeart』制作の経緯はTINAMIX INTERVIEWに詳しく載っているので参考にしてくれ。『ToHeart』に限らずビジュアルノベルの制作論とか本当に目からウロコの話ばかりなので、ぜひチェックしてみてほしい。

──おぉ、今でも読めるんですね。

カワチ:このインタビューで『ToHeart』のキーマンである高橋龍也さんは「だから『To Heart』でやりたかったのは「一緒にいて楽しい」ということなんです。性欲を抜きにしても、一緒にいて楽しい女の子を」と言っているんだが、これがすべてな気がするよ。当時のファンも、その楽しい時間を共有したくて2次創作をしていたんじゃないかな。

──なるほど。ちょっと気になってきました。プレイしてみようかな。
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カワチ:今ならPS版がオススメかな。PS3でも遊べるし。あと、アニメ版もあるんだけど、これがまた傑作でね。LeafとそのブランドであるAQUAPLUSのアニメ作品って、原作のゲームから雰囲気がガラリと変わることが多いんだけど、これはそのメディアに適した表現で作品を作るからなんだ。

内容を観ると根本のテーマは原作から変えずに作っていることがわかって感動するよ。これはゲーム開発とアニメの制作会社がお互いに信頼をしていなければなかなかできないことだと思う。『ToHeart』のアニメも落ち着いたトーンで描かれていてかなりビックリするんだけど、さらに驚くのは第1話がクラスの席替えの話だけで終わることだ。

──えぇ!? それで成立するんですか?
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カワチ:普通はキャラクターの紹介だったり、ちょっとエッチなハプニングを入れたりするのが演出というものだと思うんだが、そういうものはいっさい存在しない。席替えでヒロインのあかりが主人公の浩之と隣の席になってうれしいという内容が、20分かけて丁寧に描かれていくんだ。でも、その高校生活の一部を切り取るというテーマこそ『ToHeart』なんだよ。

──うーん。『ToHeart』を知らない人には地味なアニメだと思われそうですけど。

カワチ:絶対に思われただろうな。でも世界観を大事にするために、こういったストーリー構成にしたんだ。プロフェッショナルってこういうことだよね。
──確かに。その話を聞くとアニメも観てみたくなりますね。でもせっかくなのでやっぱりゲームから遊んでみたいなぁ。

カワチ:ああ。ゲームはマップを選んでヒロインと仲良くなっていくタイプだから、難しい操作はまったくない。PS版だとマップにどのヒロインがいるかわかるから、さらに簡単になっているし。

──それなら自分でもプレイできそうです!

カワチ:メインヒロインのあかりなんかは、別のヒロインと同時攻略しないとエンディングが見られなかったりするんだけど。そこは攻略サイト見ながらプレイしてみるといいかな。ほかにもミニゲームなんかも収録されているから、そっちも楽しんでみてね。
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──ありがとうございます。ちなみに、マスターオススメの女の子って誰ですか?

カワチ:幼なじみの神岸 あかり(かみぎし あかり)、悪友の長岡 志保(ながおか しほ)、委員長の保科 智子(ほしな ともこ)、先輩の来栖川 芹香(くるすがわ せりか)………みんなオススメだから全員プレイしてほしいんだけど、今、キミにオススメしたいのはこのマルチって女の子だ。

■誰もが一緒に居たくなるメイドロボ………それがマルチ!

──マルチ? 外国人ですか?

カワチ:正式名称「HMX-12 マルチ」。ズバリ言ってしまうと、メイドロボだ。
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──メ、メイドロボ!? 『ToHeart』は王道の学園ストーリーじゃないんですか?

カワチ:ハハハ。驚くのも無理はないか。『ToHeart』はライトノベル的な世界観だから非現実的な設定も多く含まれているんだ。だから魔術師や超能力者もいるよ。まぁ、それでもメイドロボは突拍子がないけどね(苦笑)。でも今では『ToHeart』といえばメイドロボっていうぐらいの認知度になっている。続編である『ToHeart2』にもメイドロボのキャラクターは出てくるしね。

──なんでそんなに人気なんですか?

カワチ:やはりマルチの純真無垢な性格だろうな。彼女は家庭用汎用アンドロイドの試作型メイドロボで、そのテストとして主人公たちの通う高校に入学してくるんだけど、ほとんど人間と変わらないんだよね。失敗も多いけど、人に喜ばれることが好きだから、めちゃくちゃ健気にがんばってるんだ。その姿が愛くるしくってね。PS版だと堀江由衣さんが声をあてているんだけど、それもすごくいいんだよ………。
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──ロボっていうから、もっと感情がないものかと思っていました。

カワチ:マルチは“感情”を試験的に搭載しているんだ。それに学習型コンピュータを搭載しているから、繰り返し練習することで物事が上手になる。そこらへんも人間っぽいだろ? よく世間ではマルチはドジッ娘っていう認識をされているけど、彼女は生まれてから2年しか経っていないから、ある程度は仕方ないと思うんだよね。個人的にドジッ娘のイメージがついたのは、氷川へきるさんの描くアンソロジーの影響かなと思っているよ。

──キャラクターの設定がファン活動で変わっていったんですか?
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カワチ:変わったというか、広がったというほうが正解かな………。マルチの姉妹機であるセリオとか、その好例。もともとはマルチと対象的な完璧なメイドロボとして、チラッとだけ登場するキャラクターなんだけど、コンシューマ版で出番がめっちゃ増えたんだ。これはファン活動で一気に人気になったからだと思っている。

──へぇ、おもしろいですね。
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カワチ:で、マルチの話に戻すと、彼女は心だけでなく体も人間っぽいんだよ。たとえば補助電源に水素発電を使っているから、人間のように汗やお、お、お、おしっこのように排泄なするんだ。

──お、おしっこ!?
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カワチ:マルチが恥ずかしがりながら主人公にそのことを説明してくれるシーンがあって、俺はすごく興奮したものだよ。ふふ、あのときはもう少しでオレはおしっこマニアになるところだった……。

──ち、ちょっとマスター!? そんなカミングアウトはいらないんですけど。

カワチ:すまん……。でもこのおしっこに限らず、『ToHeart』で人生が変わった人は多いから、あながち冗談とも言えないぜ。キミもプレイするときは気をつけてくれ。

──はぁ。

カワチ:あとはマルチがセンサーになっている耳を見せてくれるイベントがあるんだけど、すごく意味深な感じで描かれていてドキドキしたなぁ……。あるわけがないと思いつつも「マルチが秘部を見せてくれるんじゃないのか……!?」とワクワクしてしまった。

──そこまで妄想するとか、もはや病気ですよマスター!
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カワチ:てへり。まぁそんな感じで、主人公は人間とほとんど変わらないマルチと楽しい時間を過ごしていくんだけど、彼女はテストのために学校に通っていたわけで、8日間の試用期間を終えると工場に帰ってしまうんだ。

──ええっ!? それはさみしい。さみしすぎる!
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カワチ:ああ。しかも、そのテストを終えたら彼女は眠りにつくから、2度と会えないことが判明するんだ。マルチは彼女のデータが後継機に受け継がれていくからさみしくないというけど、そういうことじゃないよなぁ?

──そりゃあそうですよ! マルチは心を持ったロボットなんですよね? だったら、彼女自身を尊重してあげるべきです。
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カワチ:いいことを言うじゃあないか。主人公もそのあと、偶然メイドロボの開発者と出会うんだけど、メイドロボに心が必要か迷っている開発者に「必要に決まっているじゃないか」と強く答えるんだよね。

──それが正解だと思います。燃える展開ですね!

カワチ:ああ……ってなんだ、わかってるじゃないか。心は必要なんだよ。機械のように正確な仕事なんて、それこそさみしいだけだろう。キミも相手のことを思いやって仕事をするようになれば、きっとミスだって減るはずさ。

──マスター、それを僕に気づかせるために……。ありがとうございます。今後は気をつけますよ。

カワチ:がんばってくれ。キミならできるさ。

──あ、話し込んでいたらこんな時間だ! 次の配達にいかないと!! それじゃあ失礼し………わ~!

(ガラガラガッシャーン!)

カワチ:……やれやれ。一人前になるにはまだまだかかりそうだな(苦笑)。
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テキスト:カワチ(Makoto Kawachi) 1981年生まれ。ライター。ビジュアルノベルに目がないと公言するが、本当は肌色が多ければなんでもいい系のビンビン♂ライター。女性声優とセクシー女優が大好き。
ツイッターアカウント→カワチ@kawapi

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